[ 白のジュブナイル -Luminous-Drive- ] - [ 004 ]
明星春寿のリリ
惑星を包む星殻「オービタル・シェル」。

「ハビタブル・ゾーン」、生命が生きていくことに適した銀河にある領域。

遥か古代に、人が内なる宇宙から抜け出し、無限に続くかと思われた黒の世界。

数え切れぬ時間を越え、辿り着いた奇跡の星達。

人はその星達を生きていくために開拓してきた。

あらゆる人は、互いに異星人として領域を拡大させ、争いも起こった。

・・・。

桜色のマシニング「イノセンス・アレキサンドライト」の搭乗者「リリ・ブレアン・ソラス」は、叫んだ。

「イノセンス・ヒュープラス!なんであんなオールド・モデルがこの星に辿り着いていたの!!」

・・・。

涙滴状の赤いマシニングとの交戦の中、星殻を突破し、辿り着いた星で少女は見てしまった。

巨大なクレータを中心にした穀倉地帯で、引斥力機動を行ったマシニングの起こした暴風で穂が飛び交い、

その中で再起動した「白のイノセンス」が天殻に向かって、忌むべき光を放った。

・・・。

「星の少年期が、また、始まってしまう・・・。」

・・・。

忘暦の星で、新しい世界が動き始めた。
明星春寿のリリ(フル・メット)
明星春寿のリリ(フル・メット・シャッタード)
明星春寿のリリ(イノセンス・アレキサンドライト)
威圧を抗するメンフィスベル
「とおさんっ!!第2番シリンダー・第6号チャンバーをクランクアップしてっ!!」

「ルミナっ!どうしたっ!!」

「いいから早くっ!!」

<コーション:北緯24度・東経153度より高圧高速体、接近>

<コーション:高圧高速体の軌道予測より、ハンニバー第6ポート上層部に127秒後に接触>

「なんでメンフィスベルにっ!!」

「オルタが駄々こねてるのっ!!いいから早くっ!!」

「どうなってやがるっ!!さっきの吐き気といいっ!アラートがんがん流しやがって!!」

第5ポートに停泊していたアカリノ・カーゴ星間貨物船「シームルグ・スリー」号の

プライベート・コンテナ第2番シリンダーがスライドと旋回、ハッチ開放させながら第6号チャンバーを船体外層に競り上げた。

内部から現れた自衛用大型マシニング「メンフィスベル」が圧縮形態から展開形態へと移行していた。

「こちらハンニバー港湾管理局、停泊している貨物船「シームルグ・スリー」、何をしている!応答しろ!!」

「メティース砲を使いますっ!!シールド・ゲージを最大にして衝撃を緩和してくださいっ!!」

<コーション:高圧高速体がハンニバー第7ポート通過まで残り15秒>

「撃ちますっ!!」

アカリノ・ルミナは躊躇する間も無く、トリガーを引き抜いた。

「メンフィスベル」の装甲表層に光の線条を流し、砲が歪んだ光を発振した。

赤海月のフィギュアがルミナの側面を漂っていた。
ヒュープラスの偽善の光
<・衛星軌道上、シャドーサイドにて全領域障害を確認>

<・敵対象の優先順位を変更>

<・有効兵装に「インディペンデンス」を選択しました>

ヒュープラスの6枚の羽が、パタパタと羽ばたき定位置に移行した。

<・有効兵装の設定開始>

<・本機の形状を設定開始>

<・レジスタの設定開始>

<・アキュムレータの設定開始>

<・レジスタの設定完了>

<・アキュムレータの設定完了>

<・システム、同期完了しました>

<・実効命令の承諾を求めます>

「やめろ!命令を出すなーっ!!」

同型イノセンスに乗る「リリ」は叫んだ。

弾丸形状の赤いマシニングも、それを察知してなのか、即座に戦闘放棄し撤退していった。

<・実効命令の承諾を求めます>

「僕」は、この星の夜の面から来る「障害波」による「痛み」でめまい・頭痛を起こしていた。

「エグゼクタ・ルーム」内の突起の無い操作盤を指でなぞり、「何かの命令」をタップしていた。

・・・。

「音」は聞こえなかった。

「何かの光」が明滅しながら、流れ飛んで行った。

そして、

間髪無く、

大地・風・光・「僕」が、「反動の嵐」の中で振り回され、何もわからなくなっていた・・・。
星の雲の彼方のソノリス
アルファベットと数字の羅列の名の星の殻「オービタル・シェル」。

紅の機体「ランページ」は、「ファイアウォール」の群れを乱雑に破壊していた。

「オービタル・シェル」は、星の衣、星の殻、星を護る壁。

殻の地平線から、強烈な日の光が入ってきた。闇の時間の終わりを指し示す光。

<管理レベル:WARNを継続。>

「オービタル・シェル」上の強固な走行路「アウトバーン」を粉砕しながら下層部から「何か」がせり上がって来た。

「うーわ。何かの冗談か?」

運が悪い。絶対に運が悪い。ホウメイは、そう思った。

どう見ても、「この星系じゃないもの」が出てきたからであった。

ご丁寧にも、コールサインが送られてきた。

<レフコクリソス「ソノリス」>、と。

<悪運と感じたならば、それはまだ、運が尽きていないこと。>

<あきらめない。>

<あきらめないことこそ、自身の限界が広がること。>

ソノリスから「声」が聴こえた。

「説教なんか聴きたかないね!」

「ランページ」の頭部環上に、コーラルマシンのプラズマ発光により「複数のリング」が現れた。

「全領域汚染が止まんねえ!!」

ランページのリングが「意味合いを持つ配置」の形成が整った。

ソノリスは、足を付けている惑星環境管理衛星環「オービタル・シェル」自体を「侵食」し、発光し始めた。

「シェル自体を加速器にする気か!お笑い芸人か!!」
遠い星園のソノリス
アルファベットと数字の羅列の名の星の殻「オービタル・シェル」。

紅の機体「ランページ」は、「ファイアウォール」の群れを乱雑に破壊していた。

「オービタル・シェル」は、星の衣、星の殻、星を護る壁。

殻の地平線から、強烈な日の光が入ってきた。闇の時間の終わりを指し示す光。

<警報:モデル「インテグラル」、なおも接近。>

「ランページ」のエグゼクタ「紅緒 ホウメイ」は、「オービタル・シェル」に脚部を設置し、「シェル構造体」を「吸収」し始めた。

周囲にいた無人マシニング「ドッグマン」は、「インテグラル」の「汚染」により、「砲形態」への可変途中で頓挫・爆散し始めた。

サウンドメールが届いた。「ホウメイ!給与分の働きをしなさい!」。

送り主は、シェルゲート管理人に開港交渉をしていた桃色のマシニング「ハルモニア」のエグゼクタ「桜色 マーリィ」からであった。

「シャングリ・ラ・ファウンデーション」の令嬢のお言葉だった。

「りょーかい、りょーかい♪」、ホウメイは適当な返答をした。

藤色のマシニング「ハルモニア」のエグゼクタ「藍沢 イロハ」にも、「イロハ!、共闘しなさい!」。

「畏まりました、お嬢様。」、こちらは淡々と返答した。

「ハルモニア」自体、非武装のように見え、その分の不気味さがあった。

<スプリット・システムを広域界に展開。>

「インテグラル」の「汚染」が、ほんのわずかな時間ながら「停止」した。

そのわずかな時間が、ホウメイの「ランペイジ」には十分だった。

「ランペイジ」は「インテグラル」の身の内に入り込んで、

「インテグラル」の両肩を掴みこみ、「まきしまむ♪」、その言葉で「くしゃり・・・」という音が聞こえそうな感じに「インテグラル」は機能停止した。

だが、そうもいかなかった。

<管理レベル:WARNを継続。>

「オービタル・シェル」上の強固な走行路「アウトバーン」を粉砕しながら下層部から「何か」がせり上がって来た。

「うーわ。何かの冗談か?」

運が悪い。絶対に運が悪い。ホウメイは、そう思った。

どう見ても、「この星系じゃないもの」が出てきたからであった。

ご丁寧にも、コールサインが送られてきた。

<レフコクリソス「ソノリス」>、と。