[ ふらくたる -FRACTAL- HelloWorld! ] - [~1051]
百年後の祭りまで
今は晴暦3002年9月1日。

夏、終わりましたね。

祭り、終わりましたね。

お茶会、終わりましたね。

混乱に始まり、

混乱に終わる。

まあ、なんといいますか、

百年に一度は起きるもの。

・・・。

さてさて、どうしましょうか?

・・・。

地上に降りて、適当に。

次の夏が来るまで、適当に。

アリスたちに会いに行くとしますか。

・・・。

私はアリアリア。遠い昔のただの村娘でございます。
樹海雲「ふらくたる」とは:
この星には「樹海雲」と呼ばれる不思議な世界がある。

樹海雲は星をぐるりと回る空に浮く巨大な樹海。

場所は重力と斥力の中間にあるものと思って欲しい。

なので、落ちてきそうで落ちてこない。

地上からは雲のように見えるらしいが、あまりにも遠くてよく晴れていないと「影」が見えない。

樹上は一面霞みかかった様な足場の見えにくいジャングルみたいな感じ。

足を踏み外して落ちると思われがちだが、樹海雲は多重積層構造体なため、本当に運が悪い場合ぐらいしか落ちない。

昔の人は地図を記そうとしたのだが、成長老化を繰り返すため正確な形状は維持していない。

縁を歩いたところ規則性のある形状らしく、幾何数学的な用語を用い、「フラクタルクラウド」と名づけたらしい。

それがいつの間にやら「ふらくたる」と略されて・・・。

・・・。

ねえ。あなたたち。遠い昔の友人が残してくれた最後の世界樹まで送るよ。

他にも迷い子がいるので、ナビとして面倒見ないとね♪

・・・。

そんな私は今日も延々と続く「ふらくたる」をいつまでも歩むのであった。

私はアリソン。遠い昔に地上とはぐれた、ただの村娘。
悪魔はもういいから、帰るよ~
太楽の火花のプリスです・・・。

太楽・青空オーリン・プリスティア・ハウ・ネネルネとか長かったりします・・・。

「レアモン狩り」・・・。

「ぶあーーーかっ!!」

「あの悪魔は、俺に恐れをなして逃げたんだよ!!」

「なんだとお!!このヴァカーーっ!!」

「このアタシの獲物に、なに電撃放ってんだ!!」

・・・。

ケリーちゃん・・・、ラテちゃん・・・、大事なことがあるの・・・。

「なによ!」

「なんだよ!」

・・・。

ねぇ・・・いつ帰るの?

「!!」

「!!」

悪魔はもういいから、帰るよ~。

ユーフォちゃんも連れて帰らないといけないし。

・・・。

ところで、

ここからどうやって帰るの?

「!!」

「!!」
恐れをなしたか悪魔め♪
太楽の車輪帝のラテだ!

なんで、この俺がケリーとプリスとで共闘してたんだ?

「レアモン狩り」?

ぶあーーーかっ!!

あの悪魔は、俺に恐れをなして逃げたんだよ!!

「なんだとお!!このヴァカーーっ!!」

「このアタシの獲物に、なに電撃放ってんだ!!」

ケリーが言い返してきた。

ふはははは♪

それならさっさとそのミミックケースで捕獲すればよかったじゃねーか♪。

「コンニャローーーっ!!地上に降りたら、ぶん殴ってやるっ!!」

ふはははは♪

俺はこっち行くからついてくんなよ♪

「オマエこそついてくんなーーーっ!!」

なんかむかつく!!

バリバリのラテさんが、電撃放ってビリビリにしてやろうかぁ!!

「モンスターハウスに取り込んで(ピーーー)させてやろうか!!」

おうおう!!

「おうおう!!」
あの(ピーーー)悪魔め!!
太楽の羽帝のケリーだ!

アタシとプリスが、この樹海雲に遠路遥々登って来た理由は、

「レアモン狩り」だ!

そう、

レア中のレアなモンスターがきっと居るはずと目論んだが・・・、

悪魔がいた・・・。

じゅるり・・・。

たまんねえーーーっ!!。

その「悪魔」はアタシのもんだあーーーっ!!

・・・。

だが・・・。

手ごわい・・・。

いや・・・。

手ごわすぎた・・・。

そして・・・。

勝ち逃げされたーーーっ!!

あの(ピーーー)悪魔め!!

(ピーーー)で!!

(ピーーー)を!!

(ピーーー)に!!

くおあーーーっ!!

うを!!憶えてやがれーーーっ!!
樹海雲のナビのピピ
樹海雲の竜宮楼所属のナビゲーターのピピです。

道中には、ワルキューレ・スタイルやら、クマーーーッ!!やらが飛んでいたり潜んでいたり・・・。

なんとか、アリソン様一行を見つけ出し、竜宮楼までお連れ致しましたが・・・。

なんというか・・・。

「お茶会」は大混乱のうちに終わってしまいました。

・・・。

そして・・・。

竜宮楼はボロボロになってしまいました。

・・・。

そして、幽閉されておられた乙姫さまによって竜宮楼は再建されました。

が・・・。

なんということでしょう・・・。

竜宮楼が、猫饅頭のような姿に・・・。

・・・。

(猫饅頭な竜宮楼・・・かわいい・・・♪)

「聞こえているわよ・・・」

竜宮楼太守のココロ様がこころなし、睨んでおられます!!

(はうっ!!、もしかして、まる聞こえ?)

「聞こえているわよっ!!」

(はうっ!!)
乙姫さま、猫饅頭を踏み踏みする
乙姫さまっ、何をっ!!

乙姫さまっ、ぎゃーーーっ!!

・・・。

私は竜宮楼太守の姉のノゾム。

竜宮楼の管理官を行っていました。

ですが・・・。

竜宮楼はボロボロになってしまいました。

乙姫さま?

・・・。

「え~~~いっ!その猫饅頭を貸せいっ!!」

ああっ、私の猫饅頭っ!!

強引に奪い取られた猫饅頭を乙姫さまはっ!乙姫さまはっ!

乙姫さまの白いおみ足で、おもむろに猫饅頭を!!

「踏み!踏み!踏み!踏みっ!」

「ぬあっ!!」

「ぬあっ!!」

「ぬあっ!!」

「ぬあ~~~っ!!」

猫饅頭が悶えた!!

猫饅頭が光った!!

その瞬間、

竜宮楼がっ!!

竜宮楼がっ!!

猫饅頭にっ!!
白い黒魔導士
乙姫さまっ!!

乙姫さまっ!!

・・・。

私は某世界振興組合所属の黒魔導士シロコ。

白い服装は、敵対するものを欺くためのもの。

・・・。

乙姫さまっ!!

乙姫さまっ!!

・・・。

私は指令により、樹海雲に上がり、囚われの乙姫さまを救出する任務に当たっていた。

だが・・・。

皆既日食に始まり、魔女たちの強襲、所属不明の敵に阻まれ、救出は困難に・・・。

・・・。

「だからさぁ!あんたたちは・・・なのよ!!」

隣で派手な装飾をしている人が、緑の髪と赤い髪の二人を叱っていた。

・・・。

乙姫さまっ!!

乙姫さまっ!!

どこに居られるのですかっ!!
いずれまたどこかで
アリスは消えた。

ハローは消えた。

オーレは消えた。

竜宮楼は機能が不安定になった。

世界はまた変わるだろう。

・・・。

アリソン、しばしの別れだ。

また、何かが起こるときに。

・・・。

いずれまたどこかで。

・・・。

アリオンは、猫饅頭を従えて、砂煙の中に消えていった。
自治管理組合の苦情
ここは樹海雲「ふらくたる」、と俗世間では呼ばれているところ。

まぁ、なんていうのですか自治管理組合というものありまして、

この数千年間、問題なく静かだったのですが、

「アレ」が来て、「竜宮楼」なるものを建ててからうるさいことうるさいこと。

あ、

私は、組合長の猫王キューと申します。

・・・。

あれが、竜宮楼・・・。

・・・。

初めて見ました。

あんな球体の環境を配慮しないデザインの塔だったなんて・・・。

それに、壊れていたり、

何か異様な人型がもたれかかっていたり・・・。

げほっごほっ・・・。

砂埃がひどい!

苦情です!

クレームです!
デザイナーズを召集しないとね
さてさて。

はてはて。

「ふらくたる」は結構、乱れてしまったわね。

竜宮楼も派手に損傷しているし。

・・・。

さてさて。

はてはて。

ふらくたる・デザイナーズを召集しますか。

・・・。

この私、「知識の書」ホロロン・ホロンが指揮を執ります。

よろしいですね、乙姫大公。

「うむ。まかせる!そして、」

「私は、」

「喰って、」

「寝る!!」

・・・。

さてさて。

はてはて。
ずらかるアリィー
アリスめ!あんにゃろー!

自分だけ、目的果たしやがって!

えー!あー!

ドット・ウィッチ各員に告ぐ!

作戦は失敗した!

各自、速やかに撤退せよ!

繰り返す!

速やかに撤退せよ!

・・・。

アリソン!アリオン!

お前らもさっさと引き上げな!

アリアリア!

今度会ったら・・・ぶっ飛ばす!!

・・・。

魔女アリィーたちは、ホウキの飛行機雲を引きながら飛び去っていった。
さらばだ、子狐たちよ
アリスは「契約」を果たしてくれた。

・・・。

これで、我はここに居る理由がなくなった。

・・・。

ふむ。

・・・。

よくぞ、この我と戦った。

・・・。

さらばだ、太楽の子狐たちよ。

・・・。

悪魔のハリオは、風と共に消えていた。
けほんけほん・・・
私はハナ。大全太楽堂本舗の受付嬢をしております。

・・・。

けほんけほん・・・。

・・・。

あちらこちらから咳き込む人たちがむくりと立ち上がってきました・・・。

そう・・・。

それは・・・。

テレビ映画で見た、ゾンビのよう・・・。

・・・。

失礼しました。

・・・。

もくもくと周囲は砂埃で充満しています。

空はぼんやり見えております。

・・・。

従業員の皆さんは・・・。

モカ総裁は・・・。

・・・。

それにしてもすごいです・・・。

世界樹の化石で建築された通称「太楽城」が粉々とは・・・。

・・・。

とりあえず・・・。

安全確保を。

・・・。

それは晴暦3002年9月1日のお昼のことでした。
はにゃ?
・・・。

がさがさ・・・。

・・・。

よっこいしょ・・・。

・・・。

どっこらしょ・・・。

・・・。

バタン!!ドタン!!

いろいろ崩れた・・・。

・・・。

はにゃ?

・・・。

私はハナ。大全太楽堂本舗の受付嬢をしております。

・・・。

あり?

・・・。

私の周りは瓦礫の山・・・。

太楽堂本店がありません・・・。

太楽堂だけでなく、周り一帯が瓦礫の山・・・。

・・・。

・・・。

あの・・・どうなっているでありますか?

・・・。

それは晴暦3002年9月1日のことでした。