[ ふらくたる -FRACTAL- ExtraEssence! ] - [0090~0076]
晴暦3099年、九尾のグリューロット
晴暦3099年4月2日。

ここは、スーリア国の西の国境のある町「サワ野」。

あたしはウララ。

・・・。

ここは、タオさんのプリン店。

そして、タオさんの優しい?一喝によって、皆、食堂に向かった。

・・・。

中庭でもめてたバカ娘たちとお手伝いさん、睡魔さんズがそれぞれの席に座った。

タオさんが食事の前の一言を言った。

「今日の元気の元に感謝!」

「「「「いただきますっ!!」」」」

一斉にがっつき始めた!

別に取り合いってわけでもないのに、我先にと飲むように食べた!

「よく噛んで、よく味わって、食べましょう。」、タオさんが言った。

もう皆食べ終わってた。

・・・。

食べ終わった後の食器を睡魔さんズが手際よく運んで、洗って、拭いて、棚に収めていった。

・・・。

あたしは、そんな風景をぼんやり見ていた。

「・・・面白い?」、中庭から声をかけられた。

!!

グリューロット姐さま。・・・「九尾」をひらひらとさせながら。

・・・。

どこの睡魔さんたちも手際いいなあ・・・と。

・・・。

「で、オマエたちはこのまま本家に行く?」

「ワタシはこのままでいいけど。」

「ん?この九尾?そだね、行方不明の「オーレ」婆ちゃんと同じ九尾だよ。」

「行方不明の「ハロー」爺ちゃんを探しに出て、二重行方不明。笑えないわ♪」

「大婆は、暇あったら探せって言ってたけど、何処探せばいいっての。」

「ウララ、オマエはハオ婆ちゃんを大切にしろよ。」

・・・。

姐さまは、遠い空を見上げていた。
晴暦3099年、天地の糸のリインフォース
晴暦3099年4月。

・・・。

「雨・・・、」

「土・・・、」

「雲・・・、」

「空・・・、」

「輝く・・・、」

「光の・・・、」

「道・・・。」

・・・。

古い、古い、その歌は、

闇の中で、そっとつぶやかれていた。

・・・。

リインフォース。「糸」の妖精王のリインフォース。

・・・。

「闇が溢れる・・・。」
晴暦3099年、魔女のような青空ミング
晴暦3099年4月2日。

ここは、スーリア国の西の国境のある町「サワ野」。

あたしはウララ。

・・・。

ここは、タオさんのプリン店のちょっと小さな中庭。

そして、タオさん家の母屋の上に立ちそびえるのは「ラテ・スリー」。バカ従姉妹だ。

「バカ!」「バカ!」「バカ!」「バカ!」・・・。

・・・。

「お前らがバカだ。」

!?

「うおっ!!」ラテ・スリーが驚いて屋根から滑り落ちそうになった。

ラテ・スリーの横に、いつの間にか誰か立っていた。

・・・あれ?

昨日、電車の中から見えた・・・魔女?

・・・。

「お前もバカだ、ミング!!」、あたしの横にいつの間にか「グリューロット」姐さまがいた。

「なんだとバカ!!」

「昨日、お前、あの慌しさの中、何していた!!」

「憶えてねえよ、バカ!!」

・・・。

「パンパン!」、誰かが手を叩いて「バカ合戦」を止めた。

・・・静かになった。

糸目になったタオさんが言いました。

「おバカさんたち、ごはんです。」

・・・。

そそくさと全員降りてきて、食堂に静かに入っていった。

・・・。

青空ミングさんは、グリューロット姐さまによると、姐さま寄りの従姉妹で、訳ありの「魔女」だそうです。

青空ミング。太楽の青空のミング。あたしは初めて知った。
晴暦3099年、妖精王ケイオス
晴暦3099年4月。

・・・。

「命のせめぎ合いが始まり・・・、」

「命のせめぎ合いが終る・・・。」

「この地は・・・、」

「その地は・・・、」

「かの地は・・・、」

「常に・・・、」

「常に・・・、」

「命を求め合う・・・。」

「そして・・・。」

・・・。

「世界は・・・。」

「かの地へと導かれん・・・。」

・・・。

ケイオス。大地の妖精王のケイオス。

・・・。

「で・・・、誰が導くの?」
晴暦3099年、晴春の小春さま【ReBoot1.2】
晴暦3099年4月。

・・・。

「春が始まり・・・。」

「夏へと繋がる・・・。」

「その夏は・・・、」

「この夏は・・・、」

「終ってしまうのか・・・?」

「夏の終わりは・・・、」

「自然の流れ・・・。」

・・・。

「ただ、」

「それを、故意にしてはいけない・・・。」

・・・。

「小春様。」

「終焉の箱舟が確認されました。」

・・・。

「リフトレン・・・、我々を何処へ導く・・・?」

・・・。

小春。晴春の小春。

・・・。

「私は、春の龍皇は、世界に春を導こうぞ。」
晴暦3099年、黒塩の侍女のミレド
晴暦3099年4月。

・・・。

ここは塩の大地。一面に広がる、龍の骨の海。

・・・。

♪うっう~、つ~ば~めっ♪

・・・。

「なんです!!」

・・・。

♪うっう~、あっらて~っ♪

・・・!?

ツバメは、ブレア姫の猛攻撃を耐え裁いていた。

・・・。

「おもしろいじゃないか♪その剣、天剣だな♪」

ツバメの刀は「天剣」の一種だった。

でなければ、すでにツバメの姿形は無くなっていたはずだった。

・・・。

<ブレア。姫ブレア。ムレアの討伐隊だ。数は100人以上。>

「声」は、龍の骨の壁で出来た影の中を俊敏に移動していた。

「ははははは♪おもしろいんだよ、この女!!」

・・・。

<遊んでいる場合か。「狩り」だ、「狩り」。>

・・・。

「「狩り」・・・。今日の得物はそっちかーーー!!」

ブレア姫は反転し、鎧で身を固めた王族ムレアの討伐隊に向けて突進した。

「声」の主、ブレアの侍女の「双剣のミレド」も討伐隊に襲い掛かった。

・・・。

「今のうちにここの領域から逃げます。」、ツバメ、シュラクは「客人」を護りながら、龍の骨から脱出した。

・・・。

背後では、阿鼻叫喚の地獄絵図が広がっている気配がしたが、数分足らずで気配が2つになった・・・。
晴暦3099年、白塩の姫のブレア
晴暦3099年4月。

・・・。

ここは塩の大地。一面に広がる、龍の骨の海。

・・・。

♪うっう~、つ~ば~めっ♪

・・・。

「なんです?」

・・・。

♪うっう~、かっこまっれたっ♪

・・・!?

気配!

いや、気配というより、殺気!

・・・。

<ようこそ♪我が領域へ♪>

そびえ立った龍の骨の頂きにその者はいた。

「バンデッドです。」

・・・。

「フォルヴィアの者ですね。」

・・・。

「はい。フォルヴィアの第一王女、ブレア。王族でした」

・・・。

<金めの物を置いていけ♪それとも、切り刻まれたいのかい?>

・・・。

「追われた王家の末路は、バンデッドですか。」

「来ます。ブレア姫の王剣「シャイニング」にはお気をつけください。触れただけで細切れにされます。」

・・・。

ブレア姫は数十mの高さのある龍の骨を垂直に走り降り、塩の地に足をつけたとたん、圧力により塩の煙が立った。

ブレア姫は、ニヤリと笑って、人とは思えぬ速さで突撃してきた。
晴暦3099年、シュラク・ら・うっう~♪
晴暦3099年4月。

・・・。

♪うっう~♪うっう、うっう~♪

・・・。

♪つ~ば~め、つ~ば~めっ♪

・・・。

「あの子はいいのですか?」

・・・。

「先を急ぎましょう。」

・・・。

♪つ~ば~め、つ~ば~めっ♪

・・・。

♪あたしを置いていくなっ♪つ~ば~めっ♪

・・・。

♪うっう~♪うっう、うっう~♪

・・・。

「シュラク!さっさと来なさい!」
・・・。

♪へ~い、へ~いっ♪へへい、へいっ♪

・・・。

「お気になさらず。あの子も、物騒です。お早く。」
・・・。

ツバメと一緒に来ていたのは「シュラク」と呼ばれた。太楽のラ帝のシュラク。

なぜ、「ラ」なのかは、よくわからない。
晴暦3099年、風読みのツバメ
晴暦3099年4月。

・・・。

「風が・・・、変わった・・・。」

・・・。

「風、変わりましたね。」

・・・。

「見える?風の動き・・・。」

・・・。

「ええ。行ったり来たり・・・彷徨っています。」

・・・。

「あなたがここに来たということは・・・。」

・・・。

「はい。当主からの命により、お迎えに参りました。」

・・・。

「モカは元気?」

・・・。

「それはもう、手がつけられないくらいに。」
・・・。

「それにしても、あなた・・・日焼けしますよ。」
・・・。

「お気になさらず♪この地は、物騒です。お早く。」
・・・。

わたしを迎えに来たのは、ツバメ。太楽の燕帝のツバメ。

わたし同様、「風」が見えるという。
晴暦3099年、風が変わった
晴暦3099年4月。

・・・。

「風が・・・、変わった・・・。」

・・・。

「何かが、変わった・・・。」

・・・。

「違和感?」

・・・。

「嫌悪感?」

・・・。

「何か・・・、違う・・・。」

・・・。

「ここだけではないはず・・・。」

・・・。

「世界を取り巻く「風」が変わった?」

・・・。

「風が・・・、変わった・・・。」
晴暦3099年、妖精クリアベル
晴暦3099年4月。

・・・。

<リーン♪リーン♪リーン♪>

・・・。

<リーン♪リーン♪リーン♪>

・・・。

<ワタシの空にっ♪>

・・・。

<侵入者っ♪侵入者っ♪>

・・・。

<呼ばれざる者っ♪>

・・・。

<侵入者っ♪侵入者っ♪>

・・・。

<駆除しましょっ♪駆除しましょっ♪>

・・・。

<ここは、ワタシの空だからっ♪>

・・・。

<ここは、ワタシの空だからっ♪>

・・・。

<リーン♪リーン♪リーン♪>

・・・。

<リーン♪リーン♪リーン♪>
晴暦3099年、晴春の小春さま【ReBoot】
晴暦3099年4月。

・・・。

「春が始まり・・・。」

「夏へと繋がる・・・。」

「その夏は・・・、」

「この夏は・・・、」

「終ってしまうのか・・・?」

「夏の終わりは・・・、」

「自然の流れ・・・。」

・・・。

「ただ、」

「それを、故意にしてはいけない・・・。」

・・・。

「小春様。」

「終焉の箱舟が確認されました。」

・・・。

「リフトレン・・・、我々を何処へ導く・・・?」

・・・。

小春。晴春の小春。

・・・。

「私は、春の龍皇は、世界に春を導こうぞ。」
晴暦3099年、サザンの箒は魔女箒Class-S
晴暦3099年4月2日。

所は大全太楽堂本舗の備品管理部。

・・・。

「なんてこと・・・。」

「ラビットアイさんが、重武装を持ち逃げしたなんて・・・。」

「ばれたらどうしよう・・・。・・・ん?」

・・・。

備品管理部の倉庫の奥で「ガサゴソ・・・。ガサゴソ・・・。」と。

・・・。

「あの~、誰かいるんですか?」

・・・。

「・・・いませんよ~・・・。」

・・・。

「ふぅ・・・、よかった・・・、って、誰ですか!?」

「・・・誰もいませんよ~・・・。」

・・・。

ライトを向けた先には、光る目が!!

「ひぎぃ!!」

「・・・見なかったことに・・・して♪・・・。」

ダッシュして、その者は何かを持って逃げた・・・。

・・・。

その者はサザン。太楽の晶帝のサザン。この者もラビットアイと同じ格闘士だった。

持ち逃げした物は、「箒」。それはそれは、危険極まりない魔女の箒Class-S「シャンデリア」でした。
晴暦3099年、ラビットアイの重装備はNG
晴暦3099年4月2日。

所は大全太楽堂本舗の備品管理部。

・・・。

「ええい!離せっ!!」

「だめですっ!!」

「ええい!離せ!離せ!離せぃっ!」

「だめです!だめです!だめですぅ!」

・・・。

「はぁはぁはぁ・・・。」

・・・。

「だーかーら!だめですって!!」

・・・。

「銃刀不当所持法違反で捕まっちゃいますよ!!」

・・・。

「ふふーふふっ♪、そんなこともあろうと・・・、」

「じゃじゃーーーん♪、銃刀所持免責符を用意してあるのだ!」

・・・。

「でも、その手に持っているもの・・・規格外ですよ!」

・・・。

「・・・いいんだよ!従姉妹の危機なんだ!ここは心を鬼にして・・・!奪い取る!」

ダッシュして、その者は逃げた・・・。

・・・。

その者はラビットアイ。太楽の清帝のラビットアイ。

持ち逃げした物は、重刀の一種のソードガン。それはそれは、危険極まりないものでした。
晴暦3099年、深遠の底の妖精王
晴暦3099年4月。

・・・。

<だから言ったの。>

・・・。

<妖精王と龍王は、同等だと。>

・・・。

<それを、「龍皇」に挑むとは。>

・・・。

<だから言ったの。>

・・・。

<遠くから見ていると、世界がよく見えるって。>

・・・。

<アレは話を聞かないから、それ相応の対応をされたの。>

・・・。

<だから言ったの。>

・・・。

<妖精王は、妖精王として構えていればいいの。>

・・・。

<アレは話を聞かなかった。>

・・・。

<ワタシは、深遠の底の傍観者。>

・・・。

<ワタシは、深遠の底の妖精王。>