[ ふらくたる -FRACTAL- DripDrops! ] - [0435~0421]
晴暦3007年、惑いの林檎のファンデメルヴェ
晴暦3007年05月09日。

ここは北の極地の大国「クリスタルズ」の湾。

クリスタルズは外界、諸外国とは隔絶さえている。鎖国である。

・・・。

「ああっ、フラン♪フラン♪愛しきフラン♪」

「数え切れない幾年に、相見えた戦乱の日々♪」

「あなたに感謝の意を表しましょう♪」

「かつて、必要悪の共通の敵として、架空の敵を作り出した最後の守人♪」

「在りもしない敵に翻弄され、世界を分かつその術に♪」

「あなたに歓迎の意を表しましょう♪」

・・・。

ファンデメルヴェは、その手に持つ、この地には不釣合いな「りんご」に口付けをした。

「りんご♪りんご♪魅惑のりんご♪」

「りんご♪りんご♪誘惑のりんご♪」

「りんご♪りんご♪幻惑のりんご♪」

「英雄の帰りし島、最果てにそびえる、かの王樹♪」

「アヴァロン♪アヴァロン♪惑いのアヴァロン♪」

その言葉に答えるかの如く、

暴風暴雪の大地に、巨大な白き蔓がねじれ暴れ、フランの行く手を白き大樹が立ち塞がった。

・・・。

毎年の如く、クリスタルズ首都「マッハマル」へ進軍させる王立国家シーバウスの戦歌姫フラン・シー・ドに、

クリスタルズの自称魔導士のファンデメルヴェが、例年とは異なるパターンの拠点防衛妖精樹「アヴァロン」を発動させた。

・・・。

「ああっ、フラン♪フラン♪奏で手のフラン♪万策尽きさせる我が惑いを魅せて、あ♪・げ♪・る♪」
晴暦3007年、とある何某のトゥルミー
晴暦3007年5月14日。

青い空ぁ~♪~。

白い雲ぉ~♪~。

地平線はぁ、

どこにあるぅ~♪~。

逃げ水しぃ~かぁ~、見えないのぉ~♪~。

・・・。

って、おいおい。

ねえ、「大佐」ぁ?

「塩の大地」を走って3日経つけど、

その「動く井戸」って、本当にあるん?

<んぁ? あの我がままな「動く井戸」がそう簡単に見つかるわけねーじゃん。>

昨日の通りすがりの行商人の人は、生まれて一度も見たことないって言ってたやん。エルフやったけど。

<仕方ないじゃん。我がままなんじゃし。>

「大佐」が、そこ行け!すぐ行け!どんど行け!で、やっとこさ、ここまで来たのに。

で、その「動く井戸」ってなんかあるん?

<そこには・・・、なんと・・・、「井の中の蛙」がいるじゃんよ。>

ふぁ?

それって、世間知らずってことでしょ?

<そう・・・、「世間知らず」だからこそ、「世界から知られず」という困った奴がいるんじゃ。>

・・・。

・・・で、

その「井の中の蛙」ってどんなん?

<あれは・・・、そう・・・、「蛙」っぽい、うん、そんな感じ。>

ふぁ?

うーーーん・・・、わけわかんねぇーーー。

この間はマンドラゴラ探しだったしぃーーー。

・・・。

<とりあえず、トゥルミーよ!!前進あるのみじゃんよ!!>

・・・。

どこかの魔王の妖精「大佐」と共に、うち、とある何某の七星のトゥルミーは、5年前から、旅してるぅ~♪~。

・・・。

「セリアの刻」と「アリアリアの夏」が重なり合う前に。

春先なのに、肌焼けるぅ~♪~。

春先なのに、塩辛いぃ~♪~。
晴暦3007年、黄金畑のバーレイ
晴暦3007年5月12日。

北半球は春を目覚め、

南半球は秋を目覚め、

季節違えど、世界は同じ。

きっと、そういう事は、どこの世界も同じだろうと。

・・・。

自分が自分であるための情報は多くあり、証明するには簡単なことではないと。

「あの時」が起こるまでは。

・・・。

僕が「扉」に出会ってから、行く年月を巡った事か。

僕が「師」に出会ってから、幾許の「長老」に出会った事か。

「長老」、それは「龍」と呼ばれる存在。

僕は幾許の「長老」から様々の話を聞く。そして、伝える。

これが僕に課せられた「役割」と。

その「役割」が、「龍」と話をする事から「龍話師」とも言われる。

まあ、誰も知らない。知らなくても良い様な「役割」と。

・・・。

今、「彼の者達」と共にいる。近くて遠い世界の者と。

「師」は言った。

「世界は未熟だからこそ、常に前進するべきだ。未来を見据えて」と。

・・・。

「空と地を繋ぐ歯車はもう少しですにゃ。」

「それは、あの世界樹のようなもの?」

「似ているようで、そうでもないかも知れないですにゃ。」

・・・。

僕は、歩んだ。「彼の者達」と。

・・・。

僕の事は、「黄金畑のバーレイ」とか何とか言われた。

・・・。

「セリアの刻」と「アリアリアの夏」が重なり合う前に。

さあ、行こう。未来を見据える、その時の為に。
晴暦3007年、悠久舞踏のアリアリア
晴暦3007年5月12日。

この星は「リアニン」と呼ばれている。

遥か昔から天文学や様々の分野の学者達ですら、太陽系の内宇宙の何個目かの惑星らしく、未だに未知の状態である。

厳密には、「人工的に生命が生存できる改造を施された何らかを模した惑星の複製物」まではわかっている。

でも、それは、あえて公言してはならない暗黙の事柄とされている。

・・・。

私は、とある村で、偶然にもそれなりの事柄を学んだ村の長の娘だった。

「あの時」が起こるまでは。

・・・。

「あの時」が起こるまでは、今までの生活がごく普通のなんでもないものと気にすらしなかった。

そして、世界が変わる「あの時」が極偶然に起きてしまった。

世界は、変わった。

世界は、大きく変わってしまった。

娘達は、何気ないいつもの「歌」を歌いつつ、村での生活を過ごしていた。

娘達を中心に、世界は変わっていった。

それは、「必然の混乱」の如く。

・・・。

ある娘は、「不必要な力」を得た。

ある娘は、「不必要な業」を得た。

ある娘は、「不必要な知」を得た。

ある娘は、「不必要な無」を得た。

・・・。

「不必要な知」を得た娘は、崇められ、利用され、巻き込まれていった。

止める術もなく、咎める術もなく、「後の廃棄物」かの如く。

ただ、それは、「不必要な無」を亡き者とするためだけに。

・・・。

世界は、変わった。

・・・。

だが、娘達は、静かに「その時」を待っていた。

・・・。

「仕方ないじゃない。勝手に後世の人たちが、そういう祭りを勝手に決めちゃったのだから。」

「今年は「アリアリアの夏」の年じゃないんですよ?」

「仕方ないじゃない。いろいろこっちも用事があるのだから。」

・・・。

私は、そんな大昔の「ある娘の一人」、天ノ原のアリアリア、そういう名前だった者。

私は、今、とある少女と共にしている。「ある娘」の縁者の一人という。

これは、必然の偶然であり、予定は未定で決定ではない「例外」だったことが喜ばしいことであった。
晴暦3007年、遠有近有のアルカンシェル
晴暦3007年5月12日。

この星は「リアニン」と呼ばれている。

天文学やらなんやらで、太陽系の内宇宙の何個目かの惑星らしい。よくわからない。

・・・。

そもそも、なんで「よくわからない」のか?

それは天体望遠鏡では、空が歪んで見えるから星の位置が定まらないから。

・・・。

その原因には、この星の上空に「樹海雲」と呼ばれる「何か」がある。

なぜ樹海と呼ばれるか?

それは、太陽周回の一定の期間に、上空から「木」が落ちてきたから。

それは大小さまざまな木々で、町より大きい場合もある。

私たちは、免許制の「帯刀」を許可されている。

なぜ帯刀を許可されているか?

それは、上空から落ちてくる木々の中に「虫」がいるから。

その「虫」達には、地表にいる生物とは異なることが多く、凶暴なものまでいる。

その為の「帯刀」である。

・・・。

個人単位で帯刀で対処できないときは、それ専門の業者までいる。

その業者のうちの一つに、うちの家系、「大全太楽」の「治安請負部署」とかあったりする。詳しくはわからない。

その中には当主の姉妹の一人にそういう人がいるから。要は「暗部」。

で、その「暗部」のうちの一人の従姉妹がなんか起こそうとしている。

そして、その事案対処に当主の別の一人の要請で、私が呼ばれた。

・・・。

うん。

結構面倒で、関わりたくない。

そんな感じ。

・・・。

で、その従姉妹を追跡している最中だけど、なんか変な人に絡まれた。

・・・。

「で、あなたはなんで百年おきじゃない年に出てくるのですか?って、今年は祭りじゃないんですよ?」

「仕方ないじゃない。勝手に後世の人たちが、そういう祭りを勝手に決めちゃったのだから。」

「今年は「アリアリアの夏」の年じゃないんですよ?」

「仕方ないじゃない。いろいろこっちも用事があるのだから。」

・・・。

私は、そんな大昔の某賢者である「アリアリア」と行動を共にしていた。

私は、太楽の遠有近有のアルカンシェル。そういう従姉妹に対処できる太楽家の一人。

ほんと、偶然だと思いたい・・・。
晴暦3007年、虹輝月光のティファ
晴暦3007年5月11日深夜。

箱舟「ウェブスィーパー」は、混乱の塔「バベル」に船首攻撃を行って半日以上経った。

西リアニン大陸のイルタリアから発せられた衝撃波は、どこかの宇宙の一つの惑星「リアニン」全土に響き渡った。

・・・。

太楽の虹華のティファは、太楽の竹取の千年カグヤと相見えるも、すれ違いの出来事かのように離れてしまった。

・・・。

「バベル」の中は、光なき世界。

この光なき世界をどれだけ落下したかわからない。

それは数分、数時間と感じられた。

闇、黒、影、どれともつかない光なき世界。

ただそれは「目に見える光」が無いだけで、「目に見えぬ光」は感じられる。

「電波は・・・飛ばない・・・。」

「モカ婆様・・・。」

不安を感じないわけではなかった。

・・・。

ぼそっと、一言発した。

「ナノバイト散布。」

腰に付けた瓢箪状のマルチ・ランチ・システムから、光の粒子が意思を持っているかのように飛び散った。

「マップ構築。」

「情報取得。」

・・・。

壁に手斧を突き刺し、足場にした。

「バベル」は機能停止していない?

・・・。

気配ではない動体を検出した。

「あなたは、誰?」

ティファは少し首を傾げ、体表に付着させていたナノバイトを発光させた。

人型のものが眼前にいた。

「バベルの子飼いの者?」

相手は少しだけうなずいた。

・・・。

「バベルに会わせてもらえます?」

相手は笑みを浮かべたように見え、ついて来るようにと感じ取れた。

「バベル」から繋がる「無限回廊」、その先の「世界の狭間」に逸早く・・・。
晴暦3007年、空翔地駆の月華
私は、駆けた。

私は、翔けた。

私は、駈けた。

私の眼底に映りこむ「影」。

「影」を捉えた。

いつもそうだった。

見え無き「あれ」の顔は、私をいつもあざ笑っているように見えた。

私は「鍵」を構えた。

・・・。

晴暦3007年5月。

天空の遙か先の「黒の河」から「一滴の光」が落ちた。

月華の構えたそれは「精霊の銃」。

いや、「銃」ではない、「別の何か」。

「鍵」。

「扉」を開ける為の「鍵」。

「キャリバーンの扉」を開ける「鍵」。

キャリバーンの放った「一滴の光」が落ちた刻には、禍々しい巨大な雲と、止め処ない雷達が渦巻いていた。
晴暦3007年、詩篇の魔のエクセプション
晴暦3007年5月。

・・・。

<ほんに、ヤンヤディラは酷な事をしよる。>

<記す事は必然でも必要でもない「詩篇」を纏めおった。>

<それが過去ではなく、現在でもなく、未来でもなく。>

<自ら記しておきながら、反する事まで記しおった。>

<ほんに、「あほう」やで、ヤンヤディラは。>

<うちはな、「例外」であることにより、「例外」が成す事をするまでや。>

<うちはな、いろいろ「手を回した」わ。>

<あの「あほう」が、意図していることは、わからんけど、>

<うちは、うちで、うちなりに、「わるさ」させてもらうわ。>

<「例外」はな、「わかっていても」、「まさか」をおこすもんや。>

<「うち」は、「うちら」とは、「違う」んやで。>

・・・。

<「うち」は、「あの子」に・・・、「偶然」と「必然」に出会った「ユナ」に・・・、「想い」を、「願い」を、託す・・・。>
晴暦3007年、天地糸軸のリインフォース
晴暦3007年5月。

・・・。

<雨・・・、>

<土・・・、>

<雲・・・、>

<空・・・、>

<輝く・・・、>

<光の・・・、>

<道・・・。>

・・・。

古い、古い、その歌は、

闇の中で、そっとつぶやかれていた。

・・・。

リインフォース。「糸」の妖精王のリインフォース。

・・・。

<これは、とある村の歌。>

<これは、とある者の歌。>

<これは、詩篇の一項に記された歌。>

<これは、詩篇のセリアの記した歌。>

・・・。

<セリア、今、あなたは何処にいる?>
晴暦3007年、竜射る魁の月華
私は、竜を射る。

・・・。

私は、竜を射る。

・・・。

私は、竜を射る。

・・・。

いつからだろう・・・。

・・・。

今、私はここに居る。

・・・。

暦が始まる以前から。

・・・。

暦が終わる未来まで。

・・・。

人が産まれる以前から。

・・・。

人が絶える未来まで。

・・・。
きっと、私は、竜を射るだろう。

・・・。

晴暦3007年5月。

空には自律思考成長型軌道円環機構「ふらくたる」が「見える」。昔に比べ、大きく姿を変えてしまった。

・・・。

私は、「精霊」に「魅入られた」。

それは、私を「天ノ原 月華」と呼ばれていた遠い昔のことだった。

風が運ぶ匂いの中に「竜」を感じ取る。

・・・。

私は、銃を携えた。

唯一無二の「精霊の銃」。

・・・。

私は、竜に目掛けて走り続けた。
晴暦3007年、天別つ竜のディバイド
とある、昔。

空には、「リョカクキ」なる、人を運ぶ乗り物があったそうです。

あるとき、「アレ」が現れました。

何の前触れもなく。

・・・。

そして、「アレ」は、「リョカクキ」を切り刻みました。

・・・。

「私」は窓越しに、「アレ」を見ました。

・・・。

「アレ」には、何の意思は感じられなく、ただただ、無慈悲に淡々と。

・・・。

晴暦3007年5月13日。

ここは天高い所にある樹で出来た大地「樹海雲」のある世界。昔は幾本もの世界樹「ゆぐどらしる」に支えられていました。

・・・。

「アレ」は、再び、姿を現しました。

空を飛ぶ者たちの間では、「タイプ:エンジニアリングドラゴン・コンセプト:ディバイド」という、長ったらしい名称を付けられました。

そう、未だに、「アレ」は、空を飛ぶ物を切り刻んでいるのです。

・・・。

「私」は銃を構えました。

「お前は、抗うのか?」

ああ、抗うさ。

「お前は、歯向かうのか?」

ああ、歯向かうさ?

「それが無謀だと知っていてもか?」

ああ、喉笛を噛み千切ってやる覚悟があるさ。

・・・。

「アレ」は、飛んでいる。

・・・。

「アレ」は、待っている。
晴暦3007年、大樹影竜のニドヘグ
晴暦3007年5月13日。

ここは天高い所にある樹で出来た大地「樹海雲」。昔は幾本もの世界樹「ゆぐどらしる」に支えられていた。

・・・。

あ。

黒い影、見えたです・・・。前見た、あの「ニドヘグ」です・・・。

ああ~~、なんか活き活きしてるです・・・。

パーヘリックが、乙姫に伝えた。

・・・。

「本当だ・・・、活き活きしてる・・・。唐突、かつ、うっとおしい・・・。」

乙姫は、足元を「トトン♪、トン♪」とタップした。

瞬時に「竜宮楼」を中心に取り囲むように、半径数キロに渡って、巨大な剣の茨の壁が生えた。

・・・。

「どう・・・?」

・・・。

活き活きと壁に体当たりしてるです・・・。

・・・。

乙姫さま~~~・・・。

・・・。

「なに~~~?」

乙姫はその場にあった、ちょうどよい高さの幹に座り込んだ。

・・・。

前から疑問だったんですが・・・。

あれ・・・、「竜」ですか・・・?

・・・。

「さあ・・・。」

まぶたが下がった半目状態でため息混じりに乙姫は答えた。

「私、竜って、まともに見たことないもん。」

「大体、竜って、どんなもん?」

・・・。

わからないでありますよ・・・。

あのう・・・、この枝、投げつけていいですか・・・?

パーヘリックは、50メートルくらいの枝を持ち上げ、数キロ先の活き活きしている「竜」に投げつけた。

・・・。

数百メートルくらいの粉塵が立ち上った・・・。

「・・・ズゾオォォォン・・・」

腹に響く、重低音が響いた。

ダメ・・・ですね・・・。

・・・。

「ねえ、ココロは、どこ行った?アイツをぶつけよう。提案!」

・・・。

さあ・・・。どこ行ったんでしょうね・・・。
晴暦3007年、竜宮刀光のパーヘリック
晴暦3007年5月13日。

・・・。

むくり。

「秘密の花園」の花畑に「それ」は眠っていた。

「刀光り」は、いるか!!

・・・。

呼んでる?

呼んでる?

誰かが呼んでる?

・・・。

んあ・・・。

なに・・・?

おとひめ・・・?

・・・。

ヒステリックに叫ぶ声が聞こえる。

「ニドヘグ」が・・・、なんだって?

・・・。

頭上を何かが通り過ぎた。

「船」・・・?

「箱舟」・・・?

・・・。

よっこらしょ・・・血圧・・・低いんだ・・・。

竜宮の刀光りの「パーヘリック」は、枕にしていた「城壁崩し」を手に取った。

・・・。

お~と姫さま~・・・、呼んだ?

・・・。

「星が舞う!」

「星が踊る!」

「星が歌う!」

「わかるわよね!!この意味を!!」

・・・。

りょ~~~かい~~~。

「ニドヘグ」を迎撃~~~。
晴暦3007年、竜宮剣発の乙姫
晴暦3007年5月13日。

・・・。

「刀光り」は、いるか!!

「刀光り」は、いるか!!

どこにいるんだ!!バカ「刀光り」!!

・・・。

ココロ翁の「秘密の花園」のどこかで寝ているよん♪

・・・。

なんだとっ!!ああーーー!!

「箱舟」は、ほっといて、「ニドヘグ」よ!!「ニドヘグ」!!

・・・。

「お~と姫さま~・・・、呼んだ?」

・・・。

「星が舞う!」

「星が踊る!」

「星が歌う!」

わかるわよね!!この意味を!!

・・・。

「りょ~~~かい~~~。」

「「ニドヘグ」を迎撃~~~。」

・・・。

乙姫は両手の親指と人差し指をあわせ、逆三角の構えを取った。

「剣発っ!!」

乙姫の周りの花々が「剣」や「刀」に姿を変えた。

・・・。

「ニドヘグ」は、片付ける!

「りょ~~~かい~~~。」
晴暦3007年、竜宮玉司のミラージュ
晴暦3007年5月13日。

・・・。

「お~~~い♪」

「ぼんやり乙姫さま~~~♪」

「起きてる?起きてる?起きてる?」

・・・。

「太陽の方角から~~~♪」

「箱舟接近中だよ~~~♪」

「箱舟の他にも、何か隠れているよ~~~♪」

・・・。

ああーーー!!もうっ!!

太陽の方っ!?

あいつは・・・バカの箱舟!!

・・・。

三バカ魔法使いっ!!何とかしなさいなっ!!

・・・。

「星が舞う~~~♪」

「星が踊る~~~♪」

「星が歌う~~~♪」

「「「三バカは~~~♪聞く耳持たず~~~♪」」」

・・・。

「乙姫さま~~~♪」

「箱舟よりも、「ニドヘグ」を何とかしないとね~~~♪」

・・・。

ああーーー!!もうっ!!

呼ばれざる客人、急過ぎっ!!

「ミラージュ」!!、「ニドヘグ」を何とかしなさいなっ!!

・・・。

「へい♪へっへ~いっ♪」

竜宮の玉司(たまつかさ)「ミラージュ」は、気の抜けた曖昧な返事をした。