[ ふらくたる -FRACTAL- DripDrops! ] - [0375~0361]
晴暦3007年、オーロラの煌めき
晴暦3007年5月15日。

ここは北の極地の大国「クリスタルズ」の大雪原。

・・・。

「こんな所で・・・。わけもわからず・・・。」

「やられて・・・。やられてたまるかーーー!!」

オーロラは、手に握り締めていた狙撃銃を間髪置かず、ダイアモンド・ダストに発砲した!!

・・・。

オーロラの一撃は、ダイアモンド・ダストには当たりもしなかった。

オーロラの一撃は、空に向けて一発放たれただけであった。

・・・!

「ダイアモンド・ダスト!」、オーロラが吼えた。

「この場を退け!!」、オーロラは、またも吼えた。

・・・。

ダイアモンド・ダストは行動を停止した。

ダイアモンド・ダストだけではなかった。

悪魔「虚無」も動きを止め、その場にとどまった。

・・・。

「あの子・・・、もしかしたら・・・。」、オーレは感づいた。

・・・。

「うん、あの子、「魔女」、だよ。私の知っている「括りの違う魔女」。」、ルリムラは答えた。

・・・。

オーロラはぼんやりと煌めいていた。

・・・。

「あの子・・・、自覚無いんじゃない・・・?」

「きっと・・・、そうだろうね・・・。」

オーロラの煌めきの一撃は、その場を鎮めた。
晴暦3007年、ダイアモンド・ダストの強襲
晴暦3007年5月15日。

ここは北の極地の大国「クリスタルズ」の大雪原。

・・・。

オーロラ、オーレ、ハロー、ルリムラの四人の眼前には、悪魔「虚無」が積雪を巻き上げながら迫っていた。

<♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪>

意味のわからない「歌?」を歌いながら悪魔が迫ってくる。

「あんた達!あんなの相手にしていたら持たない!!逃げるが勝ちっ!!」、オーロラは、勇気ある撤退を促した。

・・・。

<フュイィィィン・・・>

・・・!

「ダイアモンド・ダスト!」、オーロラが驚いていた。

「クリスタルズの防衛機能が働いたの!?」

・・・?

「え?なに?なんで?」、オーロラは、ダイアモンド・ダストの取った行動に更に驚いていた。

後ろから迫る悪魔「虚無」と、それから逃げる四人。

そして、四人の前に立ちふさがるように舞い降りたダイアモンド・ダスト。

四人は、前後に挟まれる形になってしまった。

「歓迎されていないみたいだーーーねーーー。」、ルリムラが、寒さで鳥肌たてながら、つぶやいた。

・・・。

「クリスタルズは・・・。クリスタルズは、私たち含めて殲滅する気なのか!!」、オーロラは怒りに歯ぎしりした。

・・・。

ダイアモンド・ダストは、「振動放電砲の構え」を取った。

・・・。

「こんな所で・・・。わけもわからず・・・。」

「やられて・・・。やられてたまるかーーー!!」

オーロラは、手に握り締めていた狙撃銃を間髪置かず、ダイアモンド・ダストに発砲した!!
晴暦3007年、虚無の進撃
晴暦3007年5月15日。

ここは北の極地の大国「クリスタルズ」の大雪原。

急に雪原の雪が舞い上がり、吹雪き始めた。

・・・。

<♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪>

 <♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪>

<<虚ろなる心無し、闇すら敵わぬ無の井戸ありけり・・・>>

<♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪>

 <♪ディラディラディラディラ、ディラディラディラディラ♪ルーーーーーー♪>

<我は一つ・・・>

 <我は無限・・・>

<ここに、我ありけり・・・>

・・・。

「なんだあっ!!あれわあっ!!」、訛りのあるオーロラは迫ってくる、眼前の「それ」を見てしまった。

「ガチガチガチガチッ!!あ、あ、あれは、きょ、虚無・・・。」、歯をガチガチ言わせながら、オーレは答えた。

「さむい~・・・。虚無は・・・もう・・・勘弁・・・。」、あまりの寒さに、ハローは中途半端な答えをした。

「あーーー。あれが、虚無かーーー。」、シャツ・短パンの一番薄着の魔女ルリムラが、鳥肌たてながら、感心してた。

・・・。

「虚無って、何よっ!!」、三人に迫るオーロラ。

・・・。

「あ、あ、あ、悪魔・・・。」、答えるオーレ。

「あっくま~・・・。」、答えるハロー。

「悪魔だってーーー。」、曖昧に答えるルリムラ。

・・・。

「悪魔・・・って、なにそれっ!!」、状況把握できないオーロラは動揺していた。

・・・。

そんなこんな、問答している四人に、悪魔「虚無」が迫ってきた。

姿かたちは違えど、それは、悪魔「虚無」だった。
鬼神の天地六角
今は晴暦3007年5月15日。

ここは、大全太楽堂本舗。

その空には、あらゆるものを苦しめる悪魔「猛毒」がいた。

・・・。

<鬼だ・・・。>

<鬼が来る・・・。>

<そう、>

<待ちわびた鬼・・・。>

<この刻をどれだけ待ちわびたか・・・。>

・・・。

空を舞う悪魔「猛毒」の中に一人の少女が現れた。

・・・。

赤き亡霊「レッドアラート」は構えた。

・・・。

「猛毒」の中を平然と歩く少女には笑みが浮かんでいた。

<鬼。>

<鬼神。>

<鬼神のアリン。>

<導かれて、ここ「星天河神宮」跡地に参じた。>

・・・!

<天地六角!>、レッドアラートは不意に言葉が出た。

「天地六角だと!」、普段は冷静な竹取の魔女は声を荒げた。

「い、いかん!」

「赤き警鐘!絶対に天地六角に触れるな!!浄化されてしまうぞ!!」

「天地六角がここにあるという事は、古の星天河神宮を破壊したのは鬼なのか!!」

「赤き警鐘は・・・神宮の戦巫女だったのか!?だから・・・」
赤き警鐘
今は晴暦3007年5月15日。

ここは、大全太楽堂本舗。

その空には、あらゆるものを苦しめるものがいた。

いや、太楽の空だけではなかった。

あらゆる村、街、国、

そして、世界の空に「それ」はいた。

・・・。

<瘴気・・・。>

<瘴気が満ち溢れている・・・。>

<来る・・・。>

<奴が来る・・・。>

・・・。

「それ」は、気配を感じていた。

・・・。

「ああ、この瘴気を糧に引き寄せられたな。」

竹取の魔女も、気配を感じていた。

・・・。

<鬼だ・・・。>

<鬼が来る・・・。>

<そう、>

<待ちわびた鬼・・・。>

<この刻をどれだけ待ちわびたか・・・。>

・・・。

空を舞う悪魔「猛毒」の中に一人の少女が現れた。

・・・。

「それ」は構えた。

・・・。

「それ」といわれた亡霊、赤き警鐘の「レッドアラート」。

「それ」しか知らぬ古き記憶。

<散っていった同胞たちへの手向けのために・・・。>
猛毒の悪魔のヴェノム
今は晴暦3007年5月15日。

ここは、大全太楽堂本舗。

その空には、あらゆるものを苦しめるものがいた。

いや、太楽の空だけではなかった。

あらゆる村、街、国、

そして、世界の空に「それ」はいた。

・・・。

「悪魔の中でも、もっとも厄介な悪魔・・・。」

「古き歴史から、全てを苦しめた、厄介な悪魔・・・。」

「そう、それは、」

「毒。」

太楽モカの隣にいた、竹取の魔女が言った。

「我らを苦しめるために現れたのか?」

「我らを導くために現れたのか?」

・・・。

「毒。」

「薬にもなる、毒。」

「その毒で、」

「どうしたい?」

・・・。

猛毒の悪魔、「ヴェノム」は、空を、空を埋め尽くしていた。

・・・。

「そして、タングラム・パズルは、どうしたい?」
幻惑の誘う悪魔
今は晴暦3007年5月14日。

北東の国「ナイヴァラ」。

ここは・・・、壊滅状態であった。

人が、国が、世界が変わり果てていた・・・。

・・・。

<おや?我が領域で平常心を保っているとは、これは、これは、驚きだ。>

<ここに辿りついたという事は、我を倒すということだな?>

明滅している街灯の上に、それがいた。

<我はダズル。幻惑を司るもの。さあ、人間よ、心して掛かってくるがいい。>

<我の恐怖を喰らうが良い。>

<我の狂気を喰らうが良い。>

<我の誘惑を喰らうが良い。>

<我の疑心を喰らうが良い。>

<我の幻惑を喰らうが良い。>

・・・。

幻惑の悪魔「ダズル」は、心惑わす舞を始めた。
魔喰鳥、疾風の如く
ある日を境に、細々とした「悪魔」たちの姿が減り始めた。

・・・。

世界は人だけが戦っていたわけではなかった。

そう、草原を疾風の如く駆け行くものがいた。

「魔喰鳥」。

それは、何処から現れて、風を切り、何処かへと姿を消していった。

なぜか、その「魔喰鳥」は「魔」に耐性を持っていたようだった。

今日も何処かで、「魔喰鳥」は草原を駆けているのだろうか?

・・・。

「けきょけきょ、けきょっきょ♪」
リリィ、戦の地へ
今は晴暦3007年5月14日。

中東の王国「エルデン」の王から命が下った。

「汝、魔を見つけ出し、魔を滅せよ!」

勅命により、北東の国「ナイヴァラ」に辿りついた。

しかし、そこでは・・・。

人が、国が、世界が変わり果てていた・・・。

これは、一体、どういうことだ・・・。

・・・。

<おや?我が領域で平常心を保っているとは、これは、これは、驚きだ。>

どこから聞こえる・・・?

四方・・・?

いや、脳裏か・・・?

<ここに辿りついたという事は、我を倒すということだな?>

明滅している街灯の上に、それがいた。

<我はダズル。幻惑を司るもの。さあ、人間よ、心して掛かってくるがいい。>

・・・。

私はリリィ。エルデン王国の上位騎士。

私は身構え、眼前の「悪意」に対し、心を研ぎ澄ました。
不意に忘却する悪魔
ここは、

どこですか?

・・・。

わたしは、

だれなんですか?

・・・。

あ。

思い出しました。

たぶん、

思い出しました。

・・・。

たしか、わたしは、

「アムネジア」。

・・・。

で、

先ほどまで、

何処にいたのかわかりません。

・・・。

「ねえ・・・。」

はい?

「ウチの店の軒下でなにやってんの?」

・・・。

わからないんです。

・・・。

「暑いから、日陰のあの長椅子に座ってな。冷たい茶、持ってくるから。」

はい。

・・・。

いい人ですね。

・・・。

お聞きしたところ、ここは、サワ野って町にある太楽堂ってお店らしいです。

・・・。

調べていただいたところ、

わたしは、「アムネジア」らしいです。

わたしは、「忘却の悪魔」らしいです。

「ま、気にするな。」、と、言われました。
白龍帝、頭痛と共に
頭痛。

止まない、頭痛。

・・・。

止まない。

止まない。

加速する、頭痛。

・・・。

ねえ。

頭痛は嫌い?

私は、苦手。とても苦手。

・・・。

頭痛は苦しいもの。

でもね、

耐えることもできるもの。

・・・。

治れば、それはすばらしいこと。

でもね、

必ずしも、皆が治るとは限らない。

・・・。

それくらいでは、世界の一角が崩れない。

知識の書を護る龍は倒れない。

倒れてはいけない。

・・・。

苦しい。

苦しい。

苦しいけど、それは共に歩んでいくもの。

私は「白龍帝」。

白の塔図書館の龍王「白龍帝」の「イド」。

知識の書の護る龍。

・・・。

私は探す。

私は調べる。

きっと、「道」があるはずだから。
伝染する頭痛の悪魔
頭痛。

頭痛。

止まない、頭痛。

・・・。

止まない。

止まない。

加速する、頭痛。

・・・。

ねえ。

頭痛は嫌い?

私は、だあ~いすきっ♪

・・・。

なんていうの?

あの、頭痛に苦しむ姿。

薬を求める姿。

それでも、止まない苦しむ姿。

・・・。

ステキ♪

ステキ♪

苦しみ悶える姿はなんてステキなの♪

・・・。

さあ、世界の一角が崩れる♪

知識の書を護る龍が崩れる♪

・・・。

苦しめ♪

苦しめ♪

苦しみ悶えてしまえ、「白龍帝」♪

頭痛が弱みの、「白龍帝」♪

崩れろ♪

崩れろ♪

発狂し、崩れ倒れてしまいたまえ♪

・・・。

白の塔図書館の龍王「白龍帝」は、頭痛の悪魔「ヘッディーク」の渾身の呪いを晒されていた。
無限世界の魔法少女
ここは北の極地の大国「クリスタルズ」。

ここは外界とは疎遠になっている。

ここは疎遠と言うか「鎖国状態」であった。

・・・。

「双子たちよ・・・、あの者と対峙するのか。」

・・・。

「そう、対峙できるのは私たちだけ。」、戦歌姫バッフルド・スー・ド・シャープが言った。

「そう、対峙できるのは私たちだけ。」、戦歌姫モーニングスター・スー・ド・フラットが言った。

・・・。

「この龍王が殲滅しようぞ。」

「この龍王が殲滅しようぞ。」

・・・。

「「来た。」」

・・・。

「忌まわしき圧力」が、すぐそこにまで近づいてきていた。

・・・。

「私は!」

「魔法少女!」

「正義実行!」

「自分最高!」

「立ちふさがるものは!」

「打ち砕く!」

・・・。

「忌まわしき魔を奏でる者、インフィニティ。」、戦歌姫バッフルド・スー・ド・シャープが言った。

「忌まわしい邪を奏でる者、インフィニティ。」、戦歌姫モーニングスター・スー・ド・フラットが言った。

・・・。

「5対1か!」

「さあ!」

「愚者たちよ!」

「かかってこい!」

・・・。

「見せ付けよう。」、戦歌姫バッフルド・スー・ド・シャープが言った。

「見せ付けよう。」、戦歌姫モーニングスター・スー・ド・フラットが言った。

「「龍王とはどういうものかと。」」

・・・。

「忌まわしき圧力」、魔法少女インフィニティは、退くどころか笑みを浮かべていた。
双頭白蛇ツインズ
ここは北の極地の大国「クリスタルズ」。

ここは外界とは疎遠になっている。

ここは疎遠と言うか「鎖国状態」であった。

・・・。

「彼らが帰ってきた。」、 長髪の戦歌姫バッフルド・スー・ド・シャープが言った。

「彼らが帰ってきた。」、 短髪の戦歌姫モーニングスター・スー・ド・フラットが言った。

「彼らが帰ってきた。」、二人が声を揃えて言った。

・・・。

「双頭白蛇・・・。」、幻燈サクラの眼は、メルティア、テントーリアの先の二人を見ていた。

・・・。

「ホワイト・ストーク・ツインズ・・・。」、テントーリアが言った。

「かつて昔、異国に渡ったツインズ・・・。」、メルティアが睨んだ。

・・・。

「彼らとは、また違う者も来た。」、戦歌姫バッフルド・スー・ド・シャープが言った。

「彼らとは、また違う者も来た。」、戦歌姫モーニングスター・スー・ド・フラットが言った。

・・・。

「忌まわしき魔を奏でる者、インフィニティ。」、戦歌姫バッフルド・スー・ド・シャープが言った。

「忌まわしい邪を奏でる者、インフィニティ。」、戦歌姫モーニングスター・スー・ド・フラットが言った。

・・・。

「双子たちよ・・・、あの者と対峙するのか。」

・・・。

「そう、対峙できるのは私たちだけ。」、戦歌姫バッフルド・スー・ド・シャープが言った。

「そう、対峙できるのは私たちだけ。」、戦歌姫モーニングスター・スー・ド・フラットが言った。

・・・。

「この龍王が殲滅しようぞ。」

「この龍王が殲滅しようぞ。」

・・・。

「「来た。」」

・・・。

「忌まわしき圧力」が、すぐそこにまで近づいてきていた。
龍技のサクラ
ここは北の極地の大国「クリスタルズ」。

ここは外界とは疎遠になっている。

ここは疎遠と言うか「鎖国状態」であった。

・・・。

「テントーリア!スコーピオが通用しないよ!!」

・・・。

「メルティア様!一旦、離れましょう!何か変です!」

・・・。

「ふぅ・・。」

「古式剣術、スコーピオ。残っていたこと自体、歴史です。」

「しかし、離れすぎました。あなたたちは、俗世間から離れすぎました。」

「なにもおかしいことではありません。すでに攻略法があるのですよ。」

「この土地は、離れすぎました。世界から、離れすぎました。」

「外の世界がどうなっているかご存知ですか?」

「もう、昔とは違うのですよ。」

「目を開きなさい。」

「手を伸ばしなさい。」

「そして、感じなさい。」

「常なる世界の変動を。」

「世界を知る事は、恥ではありません。」

・・・。

「・・・。」

「・・・そう、あなたたちは知らなかったかもしれません。」

「・・・感じますか?世界が動いていることを。」

「・・・感じますか?何かが起こっていることを。」

・・・。

「私の吹雪は、サクラ吹雪。」

「今、暖かき心がこの地に降り立ちました。」

「この幻燈サクラ、凍てつく氷の鍵を溶かして見せようぞ。」