[ ふらくたる -FRACTAL- DripDrops! ] - [0345~0331]
古今東西巡るハナ
今は晴暦3007年5月。

ここは、中央神聖国家群「オウカナ」にあるコングロマリットカンパニー「大全太楽堂」本店の再建設敷地内にある事務所です。

・・・。

いやはや、世の中色々な事が起こるものですね。

5年と言わず、1年でも、

コロコロと世界情勢が変わるものです。

当社もコロコロと日々変化があります。

1年先と言いましたが、ここ数日でも当社にも大きな変化がありました。

え~と、何が変わったかは、秘匿義務でありまして申し上げられないのが残念です。

・・・。

さて、当社本店敷地も暑いですね。

異常気象とでも言うのでしょうか?

仮設事務所の中でも、熱射病になりそうです。

そんな私は上級事務員として気持ちいいほど忙しいです。

大切なお客様への心の篭った対応を。

各地の当社支店への業務配慮を。

電話はずっとなりっぱなしです。

・・・。

今日はいい天気です。

・・・。

私はハナ。

ハナはいつも元気です♪
未来への魔人のオーレ
アタシはオーレ、太楽の海花のオーレ。

呪われた力を強引に持たされたオーレ。

いま、「無限回廊」のナビに先導してもらって出口に向かっている・・・はず・・・。

・・・?

あれ?

あれれ?

ナビ。今、「何か」なかった?

・・・。

「はい。「想定外の現象」が発生しました。」

・・・。

やっぱり・・・。

ハロー。

「アイツ」が、「外」に出た。

さっきの「アイツ」が、先に「外」に出た。

・・・。

行くよ!ハロー!

急ぐよ!ハロー!

・・・。

「あ~い♪」

ハローは間の抜けた返事をした。

・・・。

アタシは、「出口の風」を、今、感じた。
迷宮の悪魔のラビリンス
<♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪>

 <♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪>

<♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪>

 <♪ディラディラディラディラ、ディラディラディラディラ♪ルーーーーーー♪>

<ラ~ビリンスっ♪ラビリンスっ♪>

 <迷宮っ迷宮っ♪ラビリンスっ♪>

<この世界は迷宮っ♪あの世界も迷宮っ♪>

・・・。

<ちょっと、立ち止まってみましょう♪>

 <何が聞こえる?何を感じる?>

・・・。

<心の音?空気の匂い?>

・・・。

<見てごらん♪>

<感じてごらん♪>

・・・。

<きっと、>

<きっと、「道」が見つかるから♪>
無二の悪魔の虚無
ここは北の極地の大国「クリスタルズ」の湾。

クリスタルズは外界、諸外国とは隔絶さえている。鎖国である

・・・。

<♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪>

 <♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪>

<<虚ろなる心無し、闇すら敵わぬ無の井戸ありけり・・・>>

<♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪>

 <♪ディラディラディラディラ、ディラディラディラディラ♪ルーーーーーー♪>

<我は一つ・・・>

 <我は無限・・・>

<ここに、我ありけり・・・>

・・・。

「隠し玉かっ!!ファンデメルヴェっ!!」

「呼び込んだのか!!フラン・シー・ドっ!!」

・・・。

「じゃあ・・・」

「なんなのだ・・・アレは・・・」

・・・。

クリスタルズ軍とシーバウス軍の合間に入った「闇」。

それは、「想定外」。

それは、「想定内」。

戦場に「闇」が広がる。

戦場を「虚無」が包み込む。
白銀のグランドスラム
ここは北の極地の大国「クリスタルズ」の湾。

クリスタルズは外界、諸外国とは隔絶さえている。鎖国である

・・・。

「全軍、首都「マッハマル」へ向け、前進せよ!!」

「ここはクリスタルズ!!即刻引き下がられよ!!さもなくば全力を持って排除する!!」

「できるのか?できるのか♪ファンデメルヴェーーーッ!!」

・・・。

「シー・ド大隊、各個障害を撃破し、」

「前進せよ。」

「前進せよ。」

・・・。

フラン卿配下の大隊は前進を始めた。

しかし、その歩みは突如止まった。

・・・。

「来た。」

積もった雪が大きく舞い上がり、爆風の如く、猛烈な風がぶつかった。

「白銀の、グランドスラム・・・。」

雪煙が薄らいできた中に、影が見えた。

「ファンデメルヴェは、アレを開放したのか。」

「アレに対処できるのは私だけだ。」、カローザは間髪置かず、格闘戦に突入した。
制圧のマージン
ここは北の極地の大国「クリスタルズ」の湾。

クリスタルズは外界、諸外国とは隔絶さえている。鎖国である

・・・。

「全軍、首都「マッハマル」へ向け、前進せよ!!」

そこに攻め立てるものがいた。

それは「金の逆さ三雫」を施した軍章。

中央大陸の北国「シーバウス」の軍隊である。

・・・。

「カローザ様!あ、あれが、魔女「ファンデメルヴェ」ですか!?」

「そうだ。」

「フラン様・・・。」

「よく見ていろ。この先、どのような障害が立ちはだかるやもしれん。」

・・・。

私は感じた。

人で無い者たちの戦い。

それがこの先にあるということを。

・・・。

私はマージン。事務官を行っていたところ、フラン卿の補佐官に急遽任命されました。

それも、フラン卿直々の引き抜きとのことでした

私には「制圧」なる能力があるそうです。自覚はありません。

私は・・・、生きて帰りたい。
無双のカローザ
ここは北の極地の大国「クリスタルズ」の湾。

クリスタルズは外界、諸外国とは隔絶さえている。鎖国である

・・・。

「全軍、首都「マッハマル」へ向け、前進せよ!!」

そこに攻め立てるものがいた。

それは「金の逆さ三雫」を施した軍章。

中央大陸の北国「シーバウス」の軍隊である。

「さあ、クリスタルズよ、侵入者だ♪ストレンジャーだ♪」

軍隊の先陣を歩むものが言った。

「フラン様!!狙い撃ちされます!!後方へ!後方へ!」、寒さと恐怖にがちがちと震える幼年の補佐官が言った。

「マージン♪お前は、カローザの背後にいなさいな♪」

「マージン、私の後ろにいろ。離れるな。」、カローザは言った。

「は!はいっ!!」

「ファンデメルヴェ。」

「全軍に告ぐ。フラン卿の戦に手出しはするな。」

無双の剣豪、王立国家シーバウスの戦歌姫カローザ・シー・ファ。

「ファンデメルヴェだけではないはず。」

カローザは、大剣「バンカー・バスター」を練成し、身構えた。

「来る。」
青空ペンキン、北へ
<ひょあっ♪ひょあっ♪ひょあっ♪>

・・・。

空はきれいな青空だった。

・・・。

空は澄んでいた。

・・・。

ペンギンが飛んでいた。

・・・。

青空ペンギン。

・・・。

あたたたたた!ここはどこじゃい?

・・・。

ぱぷりかはウェブスィーパーの船外に出た。

!!

もしかして?

もしかして!

もしかしてーーー!?

「ふらくたる」まで来ちゃったのーーー!?

・・・。

<ひょあっ♪ひょあっ♪ひょあっ♪>

・・・。

あれは・・・。

青空ペンギン。

青空ペンギン?

青空ペンギン!

そうか♪

その方向か♪

・・・。

<ひょあっ♪ひょあっ♪ひょあっ♪>

・・・。

久しぶりだな!「白き世界樹」のある世界よ!

いまそこに行くぞっ♪
雲と天秤
わたしゃ、「リンリン」は見たのでした。

初めて見る「地表への鍵」を。

・・・。

そして、わたしゃの上を何かが飛び過ごしていきました。

あれは・・・。

そう、あれは・・・、「琥珀の華」というガーディアン。

・・・。

「琥珀の華」は「地表への鍵」に吸い込まれるように入っていきました。

あ。

帰ってきました。

また、わたしゃの頭の上を通り過ぎていきました。

・・・。

「地表への鍵」から何か黒い人影がやんわりと出てきました。

・・・。

<ここの代表者に会わせていただきたい>

!!

「代表者」とは、なんぞね!?

ってか、「代表者」なんかいたの!?

<ここの代表者に会わせていただきたい>

・・・。

はわわ・・・。

はわわ・・・。

・・・。

「はいは~い。「仮の代表者」ですよ~。」

「うんうん。そうね~。あれ・・・かな?」

「仮の代表者」は、虚空の天を、指差した。

「そうそう。あれがね~。わたしたちにとっても邪魔なのよね~。」

「あ、あなた。「立会人」になってね♪」

え?

え??

えーーー!!

・・・。

わたしゃは「リンリン」。「仮の代表者(竜宮楼の乙姫)」に「立会人」にされてしまった者です。
琥珀の華
わたしゃ、「リンリン」は見たのでした。

初めて見る「地表への鍵」を。

・・・。

ここは、天空世界の樹海雲「ふらくたる」。

わたしゃたちには「地表への鍵」と呼ばれているものは、別の名前でも言われていました。

「エンジェル・コースト」。

・・・。

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ>>

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ>>

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ、ルーーー>>

・・・。

先ほどの揺れで、この樹海雲に何かがぶつかったと思われたのですが、

それが、「下の大地」から侵攻されたものであったとは。

・・・。

わたしゃの上を何かが飛び過ごしていきました。

あれは・・・。

そう、あれは・・・、「琥珀の華」というガーディアン。

・・・。

ここには「ワルキューレ」と言う存在もいるそうですが、

あーいう、「ガーディアン」もいると聞かされていました。

なんというか、一般人には、あまり関係ないことだと思っていたのですが・・・。
空の上のリンリン
ここは~♪

雲の上~♪

空の上~♪

そこは、すてきな~♪

ふらくたるぅ~♪

・・・。

そうなんです。

ここは、天空世界の樹海雲「ふらくたる」。

ちょっと昔は揉め事がありました。

今は平穏な日々を・・・日々を・・・。

・・・。

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ>>

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ>>

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ、ルーーー>>

・・・。

なんですの!?

「やんやでぃら」って?

突如、足元がゆれ、「アレ」が姿を現しました。

そして、ばっちゃが言いました。

「リンリン!!行くのじゃあ!!打開するのじゃあ!!最優先事項じゃあ!!」

・・・。

ばっちゃも無茶を言いなさる。

わたしゃ、目がかすみました。

禍々しいというか、うん、景色が悪くなりました。

白い船が飛び出してきました。

・・・。

で、わたしゃにどうしろと言うのですのーーー!!

・・・。

わたしゃ、「リンリン」は見たのでした。

初めて見る「地表への鍵」を。
コラプス
<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ>>

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ>>

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ、ルーーー>>

・・・。

<「欲」が深い>

<「欲」が深いと何が悪い>

<「欲」こそが、「全て」の原動力>

<見えうる形の「欲」>

<見えがたい形の「欲」>

<自覚しなくても「欲」は常に生まれている>

・・・。

<さあ、コラプスよ>

<我、バベルの「欲」は叶った>

<我は、「天」に達せリ>

<「足枷」を崩せ>

・・・。

地表から見えた「バベル」の足元から轟音を立て、崩れ始めた。

崩壊の悪魔、コラプス。バベルの自己崩壊プログラム。

コラプスにより下層部を破壊された「バベル」上層部は、「天」に同化していった。

「天」に同化、それは樹海雲「ふらくたる」との一体化を表していた。
欲無き暴威のアーマルタ
<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ>>

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ>>

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ、ルーーー>>

・・・。

<随分と「欲」が深いな>

<他者の「欲」を、己の「欲」にて塗り替えようとは、なんとも形容しがたい>

<「欲」はどのようなものにもあるもの>

<護るべきものを失ったときに得たものは「無欲」>

<我はここに居る>

<「無欲」の我はここに居る>

・・・。

この声は、「アーマルタ」!?

ぱぷりかが、ウェブスィーパーの「ログ」を確認したら、アーマルタは密かに船底に取り付いていたらしい。

「欲」と「無欲」。

面白いじゃない♪

「欲の塊」に「無欲」をぶつけるとは♪

ねえ♪太楽モカ!!
バベル
<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ>>

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ>>

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ、ルーーー>>

・・・。

<<人は高みを望むもの>>

<<高みと引き換えに疎通を失った>>

・・・。

<<我は高みを望むもの>>

<<引き換えるものは全て捨てた>>

<<そう、只々、高みを望むだけ>>

・・・。

<<我は高みを望むもの>>

<<引き換えなくても疎通を奪うのか>>

・・・。

<<さあ、見せてくれ>>

<<お前たちの「高みの望み」を>>

・・・。

バベルの言葉は、「塔」の中を響き渡った。

いや、「言葉」は、「意識」に直接響き渡ったのかもしれなかった。
竹取一閃のカグヤ
<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ>>

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ>>

<<ヤンヤディラ、ヤンヤディラ、ルーーー>>

・・・。

「「戦力」さん!出番です♪」

ぱぷりかは、ウェブスィーパー内にいる「戦力」に言った。

今、この船には黄昏の姫君「ユラメギ」に対抗できる手段がこの者しかいなかったのである。

「さあ♪」

「あの者を、「斬る」のですか?」

「抵抗できないようにするだけ♪楽勝♪楽勝♪」

「あの者は、ものすごく「強い」ですよ?」

「大丈夫♪大丈夫♪」

ぱぷりかの本音は何処にあるのやら・・・。

・・・。

「戦力」が甲板に上がった。

ユラメギの前に「戦力」が立ち向かった。

・・・。

「「強い」ですね。」

戦力と呼べるものはないと思っていた・・・。

「行きます。」

・・・。

ユラメギの背後に、「戦力」は立っていた。

右手には刀が。

・・・。

「戦力」・・・、太楽の竹取の千年カグヤ。

・・・。

「「強い」方、お疲れ様でした。」

黄昏の姫君は、一閃の元に崩れ落ちた。