[ ふらくたる -FRACTAL- DripDrops! ] - [0315~0301]
やあ、また会えたね
ここは、「どこ」?

ここは、「ここ」。

そんなことはどうでもいい。

要は今、私が「存在する」ということだ。

・・・。

魔女のアリィーは見つからなかった、見つけられなかった。

それはそれで、見つけられなくても構わなかった。

・・・。

「タングラムの鍵」が見つかったから。

・・・。

そして今、私はここに「存在する」。

・・・。

やあ、また会えたね、「天劇の王」。

「・・・あの時、あの処で出会った魔女・・・。」

そう、「時」は必要なことではない。

「会えること、会えたこと」が大事なのだ。

・・・。

恐怖と憧れの魔女の「ジュリエッタ」は、そうささやいた。
立ちはだかる壁の悪魔
フォージーです。

海花を離れて何時間になるのでしょう。

見渡す限り地平線は真っ青な海です。

・・・?

あれ・・・?

あれは・・・、どこかで見た・・・。

そう・・・あれは、「箱庭の世界」にもあった「バベル」・・・、それにあの「壁」の悪魔。

私をあの場所へ?

「・・・そうだ、・・・フォージー・タングラムよ・・・。」

・・・。

「・・・彼の所は・・・この世界ではない・・・。」

・・・。

「・・・そう、・・・タングラムの鍵が必要だ・・・。」

「タングラムの鍵」・・・。

「・・・フォージー・タングラムは、5年昔に、ただこの世界に迷い込んできたわけではない・・・。」

その魔女「大烏のブラン」は、言った。

「天劇の王を呼び出してくれ・・・、箱舟だけでは無理なのだ・・・、フォージー・タングラム。」
大烏のブラン
・・・。

・・・?

・・・。

「・・・箱庭の世界の住人よ・・・。」

・・・?

どなたですか?

・・・。

「・・・迎えに来た・・・。」

迎えに・・・?

「・・・そう・・・迎えに・・・。」

・・・。

「・・・いざ参らん、・・・フォージー・タングラムよ・・・。」

・・・。

ここはスーリアの海花町の大全太楽堂。

その時、町は騒然としていました。

恐ろしき「魔女」が、町の大通りに舞い降りてきたのでした。

その姿は、禍々しくも美しい「黒の翼」を持つ魔女。

その魔女「大烏のブラン」は、フォージーをやさしく抱きかかえ、東の空へ飛び去ったのでした。
天劇の王
ここは、箱庭の世界。

・・・。

広い世界へ・・・。

・・・。

そう、

・・・。

ただ、広い世界へ・・・。

・・・。

ある者のつぶやきは、

箱庭の世界の住人を動かした。

・・・。

異世界の異世界、「箱庭の世界」。

・・・。

我は想う。

・・・。

安穏とした開放された世界へ行きたいと。

・・・。

天劇の王、異世界の異世界の世界王。

ただ、その「望み」は他の異世界には脅威だったという。
怒る酒飲み魔人の八津コウ
晴暦3007年5月10日。

ここは、大全太楽堂本舗再建現場。

・・・。

おまいら!なにやっとんじゃあ!!

・・・!!

魔人やら何やらによる鬼気迫るこの空気感の中、怒号が響いた!

・・・。

なにやっとんのか、わかっておんのか!?おおお!?

・・・。

「えへへ・・・、連れて来ました・・・♪」

太楽の上級受付嬢のハナちゃんがそう言った。

・・・。

「な、なぜゆえに・・・八津コウが!?」

・・・。

「なぜゆえに?」・・・だと!?

きまっておろう・・・。

注文していた酒、「神酒」は、まだかっ!!

・・・え?

こちとら・・・安酒で我慢しとったのに・・・。

おまいらときたら、楽しそうにして嫌がる!!

チキショーめっ!!

酒じゃ・・・。

酒を用意せんかっ!!

「・・・ハナちゃん・・・。」

・・・。

「・・・えへへ・・・コウ様のそばにいて、ちょっと酔ってます♪」

・・・。

ぷはあ・・・。

・・・。

「うぐ!!酒臭い!!」

・・・。

八津コウの酒臭さにその場(戦場?)にいた皆の気力がそがれた・・・。

・・・。

八津(はっしん)コウ。とある高山にある社「八ツ園」。その社に潜む魔人。

薬師(くすし)であり、酒飲みであり、暇人でもある魔人さま。
エンジェル・コーストのラブリーラブリー
・・・。

ここは「どこ」?

・・・。

ここは「ここ」♪

・・・。

あらゆるものから、崇められる、かの世界。

・・・。

あらゆるものから、恐れられる、かの世界。

・・・。

そっ・れっ・はっ・・・。

・・・。

ひっ・みっ・つっ♪

・・・。

遥かなる、かの世界、「エンジェル・コースト」。

ここには、「統べる者はいない」、龍皇「ラブリーラブリー」が、そうつぶやいていた。

・・・。

でも、まもなく、誰か来そうね、そんな感じぃ♪
オーロラの戦い
晴暦3007年5月10日。

ここは北の極地の大国「クリスタルズ」。

・・・。

なんだ・・・あれは!?

ヘッドショットが効かない!?

いや、命中すらしない!!

・・・。

<・・・妨害中・・・>

<・・・妨害中・・・>

<・・・妨害中・・・>

・・・。

「・・・ピガッ!! オーロラ! ア・・・は普通じゃない! ・・・!! ガガガ・・・」

これ以上、町に近づけるわけには・・・。

頭以外を狙っても、「ぶれる」!

視覚妨害!?

全身の感覚が歪んでいる。

なんだ・・・あれは!?

・・・。

<・・・妨害中・・・>

<・・・妨害中・・・>

<・・・妨害中・・・>

・・・。

北極クリスタルズにて、妨害の悪魔「ディスターブ」と交戦していたオーロラは、

対峙しているものの背後に巨大な影を本能的に感じていた。
妨害の悪魔のディスターブ
晴暦3007年5月10日。

ここは「西リアニン大陸」の民主主義国「イルタリア」。

今、イルタリアは壊滅の危機にあった。

・・・。

<・・・妨害中・・・>

<・・・妨害中・・・>

<・・・妨害中・・・>

・・・。

猛進するウェブスィーパー船内で、ぱぷりかは「ぴきゅーん!!」と感じた。

こ、これは・・・。

や、やばいじゃん♪

マルチレンジで妨害されてるじゃん♪

・・・。

・・・なんとかならないかなぁ・・・。

・・・。

<・・・妨害中・・・>

<・・・妨害中・・・>

<・・・妨害中・・・>

・・・。

妨害の悪魔「ディスターブ」の意の元に、「バベル」への道は、ありとあらゆる手段で「妨害」されていた。
どかーーーん!!と突撃、トリスタン
晴暦3007年5月10日。

・・・。

「ひゅーーーんっ!!」

・・・!

「ばぁーーーんっ!!」

来たなぁ~♪

・・・。

モカちゃんのピンチには、オマエがすぐ現れるぅ~♪

・・・。

「姐さんのピンチはアタシが、どおおーーーんっ!!と現れるのさっ♪」

オマエなんか、小指一本で十分さぁ~♪

・・・。

「それは、どうかな♪どうかな♪」

・・・。

二尾の赤い狐の「トリスタン」は、不敵な笑みの中、

口から、

燃え盛る吐息を吐いていた。
蒼き狼のミッドナイトブルー
晴暦3007年5月10日。

・・・。

あははははは♪モカちゃん、お久しぶり~♪

・・・!

「な、んだと!!」

モカちゃん、注意力散漫~♪

・・・。

モカちゃんだよね?「赤頭巾」を仕向けたのは?

・・・。

あの子、チョー弱いって~の♪

いくら魔女だからといっても、しっかりサポートしなきゃ♪

・・・。

「アイツらは、どうした・・・。」

アイツら? ああ、アイツらは、どうなったのかなぁ♪

・・・。

そんなことよりぃ~♪

目の前のぉ~♪

脅威をぉ~♪

なんとかしなきゃぁ~♪

あははははは♪

・・・。

モカの前に現れた脅威、大英傑である「蒼き狼のミッドナイトブルー」。

ワタシはぁ~♪

狐がぁ~♪

大っ嫌いだぁ~♪
揺らめきのユラメギ
晴暦3007年5月10日。

・・・。

「行きなさい!羽衣の船!」

・・・。

お!おうさっ!!

行くぜっ!!ウェブスィーパーっ!!

・・・。

ぱぷりかの乱暴な操舵でウェブスィーパーは全力航行は始めた。

・・・。

「さて・・・、黄昏の姫君。」

巨大な黄昏の姫君「ユラメギ」を満遍なくダメージを与えたアリーナは、「内なるもの」に言った。

・・・。

<お前は、「人」なのか?>

「ああ、「人」だ。それ以上でもそれ以下でもない、「人」だ。」

・・・。

「セリアの「律」を断ち切る。」

「お前たちの関わった「律」を。」

・・・。

ああ、ああ、「魔王」による「律」だった・・・。

アリーナとユラメギの交戦を、モカは目に焼き付けていた。
廻るアリーナ
晴暦3007年5月10日。

・・・。

空中戦艦「ブルトラ」は、「黄昏の姫君」の反撃により、轟音、爆発音を叫びながら街中に落ちてきた・・・。

・・・。

もうダメか・・・と、誰もが思った。

人それぞれ、何かに祈っていた。

・・・。

モカはその光景を昔見た事があった。

「あの時と同じだ・・・。」

「セリア戦争のあの時と・・・。」

モカは、歯がゆい気持ちで、何も出来ないと感じ、目が泳いでいた・・・。

・・・。



「ブルトラ」の側面装甲に「波紋」が現れた!!

「波紋」が現れたと同時に、鼓膜を引き裂かんばかりの「パーーーンッ!!」と弾ける音がした!!

「ブルトラ」は横から「く」の字のように曲がり、海に向けて流れていった。

・・・。

「・・・仙術?」

「・・・仙術!!」

・・・。

「ブルトラ」を足場にし、「何か」が「黄昏の姫君」に向けて風を斬った。

「アリーナっ!!」

・・・。

あの頃の幼い少女の姿の「仙のアリーナ」が、瞬時に「黄昏の姫君」の盾を歪な形に変形させていた!!
黄昏の姫君ユラメギ
晴暦3007年5月10日。

・・・。

空中戦艦「ブルトラ」艦内は騒然としていた。

・・・。

<前方に巨大な人型確認!!>

「監視員!なにやっているんだ!!」

<レーダーに映りません!目視により確認!!>

「何だというのだ!!」

・・・。

人型の顔らしきものがブルトラに向いた。

・・・。

「主砲発射!!接近させるな!!」

<主砲発射!!>

<主砲発射!!>

・・・。

人型に60センチ弾が次々と命中して爆煙により確認が取れないほどであった。

・・・。

「どうだ!!やったか!?」

「・・・!!」

監視員の声が艦長に届くことも無く、ブルトラの艦橋が破壊され、炎を上げながら、トイナナ海に落ちていった。

・・・。

あちゃ~・・・、「黄昏の姫君」もこちらに出てきたか・・・。

「えらいこっちゃ!」、「えらいこっちゃ!」、「えらいこっちゃ!」、「えらいこっちゃ!」・・・睡魔ズは慌てふためいた。

・・・。

黄昏の姫君「ユラメギ」は直上の太陽の日差しを受け、逆光により黒く見えたが、目見当たる部分が緑色にぼんやりと輝いていた。
不眠の悪魔のインソムニア
晴暦3007年5月10日。

ここは「西リアニン大陸」の民主主義国「イルタリア」。

今、イルタリアは壊滅の危機にあった。

・・・。

<・・・にゃ。>

<・・・目を覚ますにゃ。>

<・・・眠っちゃダメにゃ。>

・・・。

そこには、「悪魔」が現れていた。

しかし、誰が眠れなかった。

いや、誰もが眠らせてもらえなかったのであった。

・・・。

<・・・目が覚めるにゃ。>

<・・・目が覚めるにゃ。>

<・・・眠たくないにゃ。>

<・・・眠たくないにゃ。>

<・・・朝も元気に目を覚ますにゃ。>

<・・・昼も元気に目を覚ますにゃ。>

<・・・夜も元気に目を覚ますにゃ。>

<・・・眠ることを忘れるにゃ。>

<・・・眠ることを忘れるにゃ。>

・・・。

不眠の悪魔「インソムニア」の意の元に、イルタリアの人々は不眠で倒れそうになっていた。
空中戦艦ブルトラ
晴暦3007年5月10日。

・・・。

北西の上空からスピーカー音が聞こえた。

なにやら、ウェブスィーパーに対して、停船命令を出している。

あれは、

北西の王立国家「オーレウス」の空中戦艦。

・・・。

<なにいってやがる!>

<相手間違っているだろって!>

<はりぼて!はりぼて!はりぼてーーーっ!!>

モカが対抗してメガホンで絶叫した!!

・・・。

オーレウスの空中戦艦は発砲してきた。

空中戦艦を現代保有しているのはオーレウス。いや、「大福龍飯店」。

通常の実体弾では対抗できない何らかの処理が施されているらしい。