[ ふらくたる -FRACTAL- DripDrops! ] - [0150~0136]
ユナ姫のグレムリンズ
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国の旧道。

4両の二足歩行戦車が1両の高機動戦車を四方を固めるように走行していた。

それぞれの車両は、全高・全長が10m近いものばかり。

旧道ながら道行くものもあり、その光景に唖然としながら見送っていた。

・・・。

アウト・ゼロより各機へ。

よく、辛抱してくれました。

「グゴゴゴガギギギ!」

「グゴゴゴガギギギ!」

「グゴゴゴガギギギ!」

「グゴゴゴガギギギ!」

あとで、機械油を与えましょう。

「キカイユ!キカイユ!マシンオイル!マシンオイル!」

目的地を変更します。

「ヘンコウ!ヘンコウ!ヘンコウ!ヘンコウ!」

・・・。

シーバウスのユナ姫が指示を出していた相手は、

獰猛な妖精「グレムリン」。

ユナ姫のグレムリンは、

比較的おとなしいらしい。

比較的おとなしいらしい。

そのグレムリンが、

シーバウス国の軍用戦車、「6529式二足歩行戦車オルト」を操縦している。

鋭敏な思考により、考えるよりも早く複雑な操縦を行っている。

ユナ姫付きのグレムリンは、比較的おとなしく、命令に忠実で、平気で汚い手を使うらしい。
6529式二足歩行戦車オルト
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国某機関の駐車場。

・・・。

太楽の千里眼のシュガです。

ぞろぞろと出てくる出席者が出てこられました。

母の太楽モカが立ちすくんでいました。

後ろには秘書のリムが同行してきた。

「はああ・・・。」

胃痛を起こしそうな、ため息を出していました。

・・・。

「シーバウスのオルトか・・・。」

ええ。乗務員の「グレムリン」は「キリッ!!」っとしながら、ユナ姫を待っていました。

周りの警備員は怯えていましたよ。

車体長、車体高が10m近いものが鎮座していたのですから。

・・・。

ユナ姫が自車の戦車「ストライム」に乗車すると同時に、

「ヒュイイイイイイン。」

「ヒュイイイイイイン。」

「ヒュイイイイイイン。」

「ヒュイイイイイイン。」

4機の二足歩行戦車が立ち上がりました。

・・・。

「あんなものを引き連れて、あの嬢ちゃんも必死だな・・・。」

そのようで。

・・・。

シーバウス国の軍用戦車、「6529式二足歩行戦車オルト」。

「戦車」と言いつつも、実質は「ゴーレム」に分類されるものです。

「ストライム」と同様、国際規格から破綻した仕様により、どのような機能があるかは一般的には不明。

乗員は妖精「グレムリン」一名で全操作可能である。

知っている武装は「高圧縮金属鞭」と、各部機銃、質量に任せた「蹴り」。そんなところです。

まったく持って、物騒です。そんなところです。
千里眼のシュガ
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国某機関の駐車場。

・・・。

私には見えた。

ぞろぞろと出てくる出席者の顔から滲み出る不安感。

目の前にとろとろと太楽モカが立ちすくんでいた。

後ろには秘書のリムが同行してきた。

いかがでした、会議は?

「ううう・・・頭が痛い・・・」

あらあら、まあ大変。

「お前の言うとおりだったよ。「奴」が現れた・・・。」

で、「思惑の外の敵」とか~、「酷暑」とか~、言われませんでした?

・・・。

(会ったのか?「奴」に?)

有視界での目視は出来ませんでしたが、「ご挨拶」だけはさせていただきました。

それと、「セリア村」の者がまた一人、姿を現しました。

(誰?)

仙のアリーナ様です。「虚無」を一時的に退かされました。

剣豪のシノ嬢、「睡魔」も無事です。

(少し予定が狂ったが、大まかには何とかなりそうだ。)

それは何より♪

・・・。

私は、シュガ。太楽の千里眼のシュガ。大全太楽堂の総裁、太楽モカの実子です。

目がちょっと「いいもの」で、見たくなくても見えてしまう能力があります。

距離も時間も、ほとんど関係ないというのでしょうか。

さて、本家に戻って、「天の眼」の整理を行いますか♪
仙のアリーナ
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国某所の廃墟。

・・・。

剣豪の篠原シノと悪魔の「睡魔」たちが、「虚無」と交戦していた。

こんなに斬っても手応えがない!

何かおかしい!

「睡魔」たちの「呪いの踊り」も効いていないのか、疲れを見せ始めた。

シノは踏み込んだ瞬間、足元が滑った!

しまった!!

「虚無」は、その一瞬に、身構え出来ないシノに剣を振り下ろした。

風が吹いた・・・。

「ヒュボン!!」

不意の誰かの襲撃に、「虚無」が吹き飛んだ!

空気が変わった!?

いや、空気の気配が浄化された感がする!!

・・・。

廃墟に日が入った。

・・・。

・・・!

人影が浮かんだ。

「邪気は祓い飛ばしました。」

その声にシノは見上げた。

すがすがしい・・・。

恐怖感がなくなった。

同時に、眠りが襲った。

・・・。

「あなた様は、どなたにゃ!?」

かろうじて助かった「睡魔」たちは尋ねた。

「早くあなたたちもこの場を引きなさい。」

「怖い者たちが来る前に。」

その者は言った。

・・・。

「お、おにゃまえを・・・。」

・・・。

「アリーナ。仙のアリーナ。セリア戦争の敗残仙。」

その者は風に乗るように消えた・・・。
アリアリアの囀り
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国某機関某会議室。

・・・。

ジュリエッタとモカとユナのやり取りの中、

「ジリリリリリ・・・!!」

ヒューーーーンンン・・・・。

会議室の電源が落ちた。

会議室の扉が開き、執務員が言った。

「この建物の電源が全て落ちましたっ!!」

「そんなバカな、緊急自家発電機能があるのだぞ!!」

風が吹いた・・・。

「来た・・・。」

「来た・・・。」

モカとジュリエッタの言葉に皆が息を呑んだ。

<非常電源が回復します>

<非常電源が回復します>

<非常電源が回復します>

・・・。

・・・!

オレンジの照明の中、ぼんやりとした人影が浮かんだ。

「「虚ろなる心無し、闇すら敵わぬ無の井戸ありけり・・・」」

冷気を伴ったその声に皆が息が止まった。

「「非想定の想定外は必ず起きるもの。それは自然。それは不自然。「敵」は思惑の外にいる・・・」」

「アリアリア!!!」モカは思わず叫んだ!!

「「「アリアリアの夏」はまだ終っていない。「酷暑」が控えているのを忘れるな・・・」」

<補助電源が回復します>

<補助電源が回復します>

<補助電源が回復します>

会議室が明るくなった。

「アリアリア」は、そこにはいなかった。

いや、もしかしたら、元々いなかったのではなかったのかもしれなかった。

あの「大魔女」のジュリエッタに冷たい汗が流れた・・・。
ユナの乗機、6329式戦車ストライム
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国某機関某会議室。

・・・。

そっと後ろの扉が開いた。

「あの・・・当議事堂の駐車場に戦車が置かれているのですが・・・」

・・・ユナが睨んだ。

「私の車です!」

一部を除き全員、ドキッとした!!

「ぷははははははは♪」

ジュリエッタとモカが大笑いに笑った。

「戦車が車♪戦車が車♪むひゃひゃひゃひゃ♪」

「あら?他の方々は顔が引きつっておられますね・・・。」

「どうぞ!どうぞ!ご意見を!」

ユナの威圧は酷かった。

「私のかわいいかわいい「ストライム」に指紋でも付けたらどうなるか、わかっておられますわね?」

・・・。

シーバウス国の王女、ユナ・メータ・シーバウスの私物、「6329式戦車ストライム」。

悪劣な地形に特化し、市街地戦にも対応できる特殊車両。シーバウス軍用巨大ゴーレム「オルト」との連携を考慮されている。

国際規格から破綻した仕様により、どのような機能があるかは不明。

乗員一名で全操作可能な点は目を見張るべきものがある。

ってか、個人で戦車を私用に扱い乗用車の如く乗り回すのは、至極迷惑な話である。
孤独の悪魔のソリテュード
・・・ぐすん・・・。

あるところで少年が泣いていた。

・・・。

「ねえ?」

「何泣いているの?」

「痛いの?」

「寂しいの?」

「一人なの?」

・・・。

「ねえ。」

「いいこと。」

「一緒に笑える人を探すこと。」

「一緒に泣いてくれる人を探すこと。」

「見つけられなかったら、また来るね。」

・・・。

・・・ねえ。

少年の傍には、その者はいなかった。

少年は探した、その者を。

・・・。

その者は「ソリテュード」。孤独の悪魔のソリテュード。

出会う人には何かしら言って、去っていく悪魔。

その者の言葉は心に残り、強さに導くらしい。
北端王国の姫君のユナ
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国某機関某会議室。

・・・。

「バアアアアアアアアアアン!!」

会議室の前の扉が豪快な音を立て開いた。

ビクビクッ!!

一部を除き全員、ドキッとした!!

「来た来た♪」

モカが言った。

ムスッとした顔で、モカの隣の席にドン!と座る軍人らしき者だった。

「モカ婆様!来たはいいですが、なんですの!?この面々は!?」

「あれ?詳細伝わっていなかった?」

「ってか、前の扉から堂々と入るとはすごい心臓だわ♪」

「後ろの扉、開けてみなさいな!!」

なにやら人だかりでざわついていた。各国の情報員ばかりであった。

「で、シーバウスは、どう行動すればいいかお決まりになって!?」

「うんうん♪標的をかき回してほしい♪」

「そりゃまあ、すでに我が国は標的と交戦済みです。5年前の大軍師による造反事件でまだ影響が残っていると言うのに!!」

「その残った影響の中で、標的に襲われ、もう大混乱!!今、思い出しても腹が立つ!!」

モカにタメ口を放っているこの者に対しに一同、圧巻の目で見ていた。

・・・。

この者は、ユナ・メータ・シーバウス。北端の王立国家シーバウスの第3王女。

シーバウスは国のほぼ全域を永久凍土に覆われた非凡な土地である。

その非凡な土地でありながら、5年前まで最低限の生活レベルであったが、

その土地を治める地龍の死により隣国への「地龍狩り」事件へと発展した経緯があり、隣国連合体からは好まれていない。

軍事力には目を見張るものがあり、常に監視レベルを最高状態にし、緊張状態が今なお続いている。
太楽の魔女のモカ
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国某機関某会議室。

・・・。

空調完備した会議室であっても、敵対していた国家・組織が一同にそろうと、緊張の汗が流れるもの。

その中で・・・。

ケタケタと小声で魔女ジュリエッタと談義しているものがいた。

一同、不安な顔をした・・・。

「ん?皆様方、不安か?緊張か?いいね♪いいね♪その不安感♪その緊張感♪」

その者の目が真剣になった。

「不安、緊張。大事な要素だ。」

「相手はそこをつけこんで来る。それも普通じゃない者たちだ。」

「問題がある。」

ゴクり・・・。

「私がこの場にいることだ♪」

・・・!

また、そのものは皆を不安がらせることを言った。

・・・。

私は、モカ。太楽の笑龍のモカ。大全太楽堂の総裁だ。

コングロマリットカンパニー「大全太楽堂」を営んでいた。

企業内容は、軍需、銀行、貿易、宿泊娯楽施設、古物商、傭兵など多岐に渡る。何でも屋だ。

そして、私は・・・魔女だ。恐るべき魔女だ。
モカの秘書のリム
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国某機関某会議室。

・・・。

ある者が一礼して、会議室の後ろの扉から入ってきた。

そして、太楽モカに耳打ちした。

その者がジロリと周りを見た。

皆が、また、不安げな顔をした・・・。

(婆様。青空オーリン支店が襲われました。その際、アルル師範を確保しました。)

「うんうん♪了解した♪」

モカはニヤリとした。

その横にいたジュリエッタもニヤリとした。

「そうかそうか♪アイツはこの私でも手を焼く者だ♪そうかそうか♪」

その者が、また一礼して会議室の後ろの扉から出て行った。

・・・。

(あれって、魔女の片鱗者じゃないの?)

(大体、モカ自体が魔女じゃない・・・。)

・・・。

私は、リム。太楽の銀華のリム。大全太楽堂の総裁、太楽モカの私設秘書を行っています。

まあ、目立たぬ服装はナンとやらと申しますでしょうか?

それでも、わかる人にはわかるのですね・・・、魔女の端くれだってことが。
琥珀の大魔導士アラムト
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国某機関某会議室。

・・・。

「その「通行術式陣」を通るのは、私の役目でしょう。」

いいのですか?

四肢が世界樹の琥珀で再構築されているからといっても、

無事では、済まないですよ。

「構いません。そのため、今日まで生き延びてきたようなものですから♪」

「それに、「彼の者」を送り返したのは、この「私」なのですから♪」

「彼の者」を連れて来る役目は、アラムトに任せます。

・・・さて、

もっとも、誰も引き受けたくない役は決まった。

通行陣からは「呼ばれざる客」も流入してくるであろう。

皆には、「迷い人」たちを探してきてほしい。

そうだな?モカ?

「んあ?いるよ。一人知っている。ってか、雇っている。「ずれた隣の世界の者」を。」

・・・。

私は、アラムト。王立国家「オーレウス」の国家魔導士。

かつて、「リアニン赤道事件」時に「この世界に在らざる者」と交戦し、

再起不可能なほどの重度の損傷を受けつつ、その代償に「在らざる者」を元の世界に返した経緯がある。
大魔術師リンドン大佐
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国某機関某会議室。

・・・。

「ズズズズズズズズズズズ・・・!!」

「ぷはっ♪」

!!

各出席者の席に置かれた飲み物を大きな音を出して飲み干したものがいた。

!!

ビクッとした!!

皆がかなりビクッとした!!

・・・で?

「某「魔女っ子リンドン」と言われているこの私は何をすればいいの?」

声が大人の女性で見た目が子供の魔術師が言った。

ふむ。専用の「通行術式陣」を組んでほしい。

「ふふ♪代価は高いわよ♪」

それは何とかなる・・・と思う。

・・・。

私は、リンドン。王立国家「エルデン」の国家魔術師。プロンプト魔術32課に所属。階級は大佐。

幼きころの「魔術式」の失敗により「歳を取れない」という呪いに掛かってしまった。

でもまあ、やることの強引さから、一部からは怖がられているのは確かだわ♪
風見鳥のミロン
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国某機関某会議室。

・・・。

ねえ・・・。

ねえ・・・ジュリエッタ・・・。

・・・!?

うわお!!

!!

ジュリエッタがちょっとビクッとした!!

そのジュリエッタを見て、皆がかなりビクッとした!!

「ぷひゃひゃ♪」、モカだけ笑っていた。

なに人を呼んで「ビクッ」っとしてるのよ・・・。

え、「ハーピー」がここに居ること自体が不自然だって?

それじゃ・・・「大魔法使い」とか「大魔導士」とか「大魔術師」とかが寄ってたかっていること自体が不自然でしょ?

人が「世界の中心」で「悪魔」をしばき倒してきたところなのに・・・。

・・・。

私?

私は、ハーピーのミロン。どこにでもいて、どこにでもいる。ほとんど、「世界の中心」でゴロゴロしている、そんなハーピー。

あ~、ハーピー型の「風見鳥」って知っているでしょ?

あれ、私がモデルなの。ちょっとだけ自慢なの♪
大魔法使いチャイムーン
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国某機関某会議室。

・・・。

私は各々の国の代表なる?魔法使い中の一人。

招集かけられたのは、伝説の大魔女翁。

・・・。

ふむう・・・。

つい数年前に、はるか天空の樹海雲「ふらくたる」から戻ってきた英傑がウチの国にいるという素晴らしさ。

で、

その素晴らしさついでか何かで、私が召集?

ふむう・・・。

国家魔導士を免職されてから、太楽系列の小さな雑貨店を営んでいたのに、

なぜに?なぜに?

平和だったのですよ~、ウチの経営状況は・・・。

・・・。

私は、チャイムーン。南リアニンにある国、イルタリア民主共和国から召集されました。

で、モカさんや?

呼ばれた私は、やっぱり結局、出番あり?
大魔導士ヴェルヴェル
今は晴暦3007年5月7日。

ここは、某国某機関某会議室。

・・・。

私は各々の国の代表なる魔導士中の一人。

招集かけられたのは、伝説の大魔女翁。

・・・。

ふふふのふ・・・流石に魔女への道はよくわかりませんでした。

魔女に追いつけ追い越せで身に着けたこの魔法力。

それがなぜか、北部戦線に出向させられる身に・・・。

北部戦線、王立国シーバウスとの国境線「センチネル・アワーズ」。

あそこは、日々銃撃の嵐で、昼夜眠るに眠れない騒がしさでした。

そして、

幸いなことに中央に戻されたと思ったら、こういうことでしたか・・・。

敵対するものが変わっただけだと思うのは内緒です。内緒ですよ。

・・・。

私は、ヴェルヴェル。トロア民主共和国北部から召集されました。

流石民主主義化への傾向のここ昨今、数いる魔導士の中で、

稀なる特別大魔導士として在していることは幸いかな。