[ ふらくたる -FRACTAL- DripDrops! ] - [0090~0076]
迷いの森のジーン
今は晴暦3007年5月。
ある国のある場所のある森の中。
・・・。
「こ、ここでいいのかにゃ?」
「ま、間違いはずないにゃ・・・」
「こ、ここさっきも通った気がするにゃ・・・」
「さ、さっきから変な鳴き声がするにゃ・・・」
「「こ、ここ、こわいにゃーーー!!」」
・・・。
迷ったの・・・。
・・・。
「「う、うきゃーーーーーーっ!!」」
・・・。
そう、君たちだね。「睡魔」というのは。
確かにここは怖いところだよね。
僕は、5年前から、ここに「幽閉」されているようなものだよ♪
でも、にぎやかなところだよ。いろんな者たちがいるからね♪
「あなたは、龍王の人ですかにゃ・・・?」
そう、龍王。一人ぼっちの「地龍王」のジーン。
君たちの心の迷いを聞かせておくれ。
・・・。
「睡魔」たちは、ぽろぽろと涙を流し、龍王の少年に話し始めた。
オーレの妖精「溢れかえる泉」
今は晴暦3007年5月。
ある国のある場所のある日差し下。
・・・。
あるものが、彷徨うかのように空を舞っているように見えました。
あれは、妖精?それとも、悪魔?
それは、一定時間その場にとどまって、瞬時にどこかへと消えていました。
・・・。
オーレ・・・。
オーレ・・・。
オーレは、どこ・・・。
・・・。
「オーレ」と呼ばれたものは見当たらなかったが、きっと主であろう。
それは、今も「オーレ」を探し、今もどこかに・・・。
それは、人に気づかれることも無く、今もどこかに・・・。
剣の覇王ソソ
今は晴暦3007年5月5日。
スーリア国境近くにある国立図書館「白の塔」。
・・・。
そこに黒き剣士がいた、いや、「黒き剣聖」とも言われた。
「悪魔」から白き龍王の危機を救ったらしきものはこの剣聖らしい。
「剣の覚悟」というものを見せられた悪魔自身が恐怖したとも言う。
・・・。
今、ここに「黒き剣聖」はいない。
そよ風が吹いたの如く、その場からその者はいなくなっていた。
・・・。
さあて、どこにいったのやら・・・。
あいつはあいつで、やることがあったのであろう・・・。
「剣聖」であると共に、「一国の王」であったあやつに・・・。
さあ、
散らかった本を元の棚に戻しますか・・・。
・・・。
「白龍帝」イドは独り言のようにつぶやいていた。
白の塔図書館のイド
今は晴暦3007年5月5日。
スーリア国境近くにある国立図書館「白の塔」。
・・・。
聞きたいこと?
ああ、アレね。
「悪魔」のことね。
そうだね、私がこの図書館「白の塔」に赴任(というか軟禁)してからは、見たことも出会ったことも無かったね。
赴任したのが晴暦1579年だったと思うの。
それからずっと暇だったので、ここにある文献をすべて読み漁ったの。
まあ、なんというか、「悪魔」という言葉は出てきても「実在した」という記録は無かったの。
現に「頭痛の悪魔」なる者が現れたときには驚いたね。
幸い、頭痛薬「スッキリウム」が残り一錠あったので助かったものの、
便乗して現れた「睡魔」にも脅威を感じたわ。
私は、「眠らせない」という呪いの掛かった龍王で、
全ての図書の管理をしないといけない「約束」を縛り付けられているのだから。
・・・。
そのように、アルビノの龍王「白龍帝」イドは語ってくれた。
なんでもないもの
今は晴暦3007年5月。
ある国のある場所のある日差し下。
・・・。
あるものが一人、「真白なる世界樹」の前に立っていました。
あらあら、あなたはお客様?それとも侵入者?
「「迷い人」と思われる。」
そうでございましたか。それでしたらこちらへどうぞ♪
そう、勘繰らないでくださいね♪私は只の「なんでもないもの」ですから♪
・・・。
私は、「真白なる世界樹」の麓にいる「なんでもないもの」。
「真白なる世界樹」の先に見える巨大な船「ウェブスィーパー」に導くもの。
彩帝のマキア
今は晴暦3007年5月。
ある国のある場所のある日差し下。
・・・。
って、ここは「国」なのか?
あるものが一人、巨木の前に立っていました。
「巨木」・・・だと?
冗談じゃない!
これは、「世界樹」ではないのか!?
それも、「真白なる世界樹」では・・・。
・・・。
ここには、某婆の命令にて某方法にて辿り着いたのだが、なんと言えばいいのやら・・・。
・・・。
「あらあら、あなたはお客様?それとも侵入者?」
なんといえばいいのだろう・・・。
「迷い人」と思われる。
「そうでございましたか。それでしたらこちらへどうぞ♪」
・・・。
「そう、勘繰らないでくださいね♪私は只の「なんでもないもの」ですから♪」
・・・。
私は、某太楽の大婆の子飼いの者、太楽の彩帝のマキア。
太楽の元防衛部所属だが、防衛部無き今は只のパシリ・・・。
でも、ここは・・・。
パシリで来るとこじゃねぇぞ!!
「真白なる世界樹」の先に見えるのは「巨大な船」・・・?
モーニング・スター
今は晴暦3007年5月。
ある国のある場所のある日差し下。
・・・。
いつのころか、
一人のブラウニーがいました。
その名は「モーニング・スター」。
あの、「とげとげのついた鉄球を振り回す武器」と同じ名前だったと思います。
しかし、この世界では、あらゆるところに、
「MORNING-STAR」、
「MORNING-STAR」と表記されています。
知っている人によると、「MORNING-STAR」は、
「Multi-purpose Operating System」(多目的基本機能管理システム)、略して「M-POS」の一種だといわれています。
しかしながら、
どこで作製されているのでしょう?
どこから供給されているのでしょう?
謎であります。
・・・。
「・・・供給源?」
「それは・・・」
「ヒ・ミ・ツ♪」
世界樹の琥珀
今は晴暦3007年5月。
ある国のある場所のある日差し下。
・・・。
昔々・・・、
この星には、無数の世界樹がありました。
世界樹は天の大地を支える柱でありました。
天の大地は広がり、繋がり、星自体を包む樹の大地を形成しました。
そして、ある物達は、天の支えであった世界樹を次々と切り倒しました。
最後の一本になった世界樹は、「琥珀の涙」を一滴、流しました。
唯一無二のその一滴で形成されたのがこの私でありました。
私は思いました。
いずれ、人はこの星の外に憧れる事でしょう。
いずれ、人はこの星を旅立つことでしょう。
・・・。
私は・・・。
私はその時にこそ、天と地をつなぐ歯車となりましょう。
そう・・・。
そう私が琥珀になるときに紛れ込んだ想いがそう言い聞かせているのかもしれません。
その時まで・・・。
その時まで・・・。
ふらくたる -FRACTAL-
今は晴暦3007年5月。
ある国のある場所のある日差し下。
話・・・?
話すことは無いわ。
いや、
伝えることはあるのかも・・・。
「あの子」が無理に「鍵」をこじ開けるから、「あの者たち」が入り込んできた。
それは、それは、「望まぬもの」。
でも、「あの子達」が戻れば、「鍵」が閉じられる。
「あの子達」を見つけなさい。
「あの子達」を望みなさい。
「あの子達」を連れ戻しなさい。
さすれば、世界の「ズレ」は少しは収まることでしょう。
・・・。
わたし?
わたしは・・・。
そうね、
「ふらくたる」とでも名乗りましょう。
もし・・・。
もし・・・。
「あの子」も見つけることがあれば、
正さなければなりません。
さあ、
「世界」を見なさい。
「世界」を巡りなさい。
「世界」が「あなたたち」を求めているから。
信じる心?・・・イヒ・・・
今は晴暦3007年5月4日。
ある晴れた空の下にあったスーリア国の東端の港町「サン海花」。
「・・・イヒ・・・」
「信じる心だと?」
「・・・イヒ・・・」
「忘れちまいなよ♪」
「諦めちまいなよ♪」
!!
ハオはぶん殴った。小さい「オーレ」に似たそれを。「疑心暗鬼」を。
私たちは忘れない!
私たちは諦めない!
私たちは信じる!
「アイツラ」が帰ってくることを!
「アイツラ」を見つけ出すことを!
「アイツラ」を私たちは信じる!
・・・。
「・・・イヒ・・・」
「・・・イヒヒヒヒヒヒヒヒヒ・・・」
・・・。
「嫌疑はいつも傍にいる・・・」
「暗闇はいつも傍にいる・・・」
・・・。
「サン世界樹に鍵がある・・・」
・・・。
「疑心暗鬼」と呼ばれるものは、そこにいたのかどうかすらわからなかった。
気配を感じる、ニナ
今は晴暦3007年5月4日。
ある晴れた空の下にあったスーリア国の東端の港町「サン海花」。
ユーフォに遅れて、猫福帝のニナが海花町に着いた。
「上級悪魔としても魔王の眷属を見くびるなよ♪」
ハオ姉ちゃん!それ違う!!
「何っ!!」
気配はあるけど気配が無い!!
「ニナの直感か!?」
術中に嵌っている!!
「疑心暗鬼!?」
「勝ったと思わせたのか!」
「パンッ!!」、ハオは両手をたたき大きな音を立てた。
暗くなった世界は少し「ズレ」、そして、再び「ズレ」戻った。
「ニナ!わかるか!?」
・・・。
・・・「アレ」・・・。
ニナが指差したところに「それ」がいた・・・。
「・・・イヒ・・・」
蒼狐の水晶のハオ
今は晴暦3007年5月4日。
ある晴れた空の下にあったスーリア国の東端の港町「サン海花」。
ははははは♪
やるじゃないか♪ユーフォ♪
「ハオ姉ちゃん、ありゃ、ダメだ。」
いやいや、こちらを良くぞ気づかせた♪
「OK・・・?」
さあ、私も構えるとしますか。
「けつねさん♪けつねさん♪おいでませ~え♪おいでませっ♪」
「パンッ!!」、両手をたたき大きな音を立てた。
私の姿は少し「ズレ」、そして、再び「ズレ」戻った。
「姉ちゃん・・・、なにそれ・・・」
・・・。
「けつねさん」になるのも何年ぶりかね・・・。
・・・にやり・・・。
眼前に下りてきた「疑心暗鬼」に向かって、「すう・・・」っと息を吸った。
・・・「ズドンッ!!」!!
「疑心暗鬼」が変な形になって吹っ飛んだ!
(ハオ姉ちゃんはまだここにいる?なに?なにがおこったの?)
私は構えを変え、再び息を吸った。
吹き飛んだ「疑心暗鬼」が砂煙の中、ぼんやり立ち上がったと思った瞬間、
・・・「ズドドドドドドドドドドドドドッ!!ズドンッ!!」
・・・。
砂煙の中、何色かわからないものを口から流している「疑心暗鬼」を鷲掴みしている私がいた。
「上級悪魔としても魔王の眷属を見くびるなよ♪」
疑心暗鬼
今は晴暦3007年5月4日。
ある晴れた空の下にあったスーリア国の東端の港町「サン海花」。
晴れていたけど暗くなってきた・・・。
太陽は見えている・・・。
雲は無い・・・。
・・・?
「ユーフォ・・・。あれか?」
ハオは、あごで上空を示した。
そう・・・、あれ。
姉ちゃん。本店に出た奴の情報来てるか?
「本店に何か出たの?」
やっぱり・・・婆ちゃん、情報統制している・・・。
本店に「虚無」っていう悪魔が出た。
で、猫饅頭を大量に連れていた子が追い返したらしいの。
「ふ~ん・・・、で、どうすんの?」
追っ払う。
「あんた、土が無きゃ何も出来ないジャン。」
大丈夫♪
ここの道路の土を使うから♪
ユーフォは両手を、パッと地面につけた。
地面から無数の「矢」が「目標」に向かって飛んでいった。
すかさず、
「せいやーーーっ!!よいしょーーーっ!!ドワーフの大斧っ!!」
道路が割れ、土で出来た目測100m強の「大斧」を「目標」に叩きつけた!!
上空は盛大な土煙でまみれた。
姉ちゃん。今も「力」使える?
「もちろん♪」
土煙の中からおぼろげに何かが見えた。
アレは「疑心暗鬼」っていう悪魔。精神力を集中してね♪
天花火のユーフォ、舞う
今は晴暦3007年5月4日。
ある晴れた空の下にあったスーリア国の東端の港町「サン海花」。
バサッ!バサッ!バサッ!
・・・。
ハオ姉ちゃん!!
ここに変なの来なかったか!?
・・・。
「お?ユーフォじゃん。何、急いで戻ってきたんだ?」
「ふむ。変な奴らは来た。追い返した。「眠るにゃ♪眠るにゃ♪」って言ってた。」
そんなのじゃない!
例えると・・・
ハオ姉ちゃんやバレリィ姉ちゃんタイプ!
「なんだそりゃ。」
なんていうか、もっとえぐいの!!本店に出たのと同系統!!
「何?本店に出たのって?」
町役場に避難勧告を早く!!
・・・。
「・・・あれか?」
・・・そう、あれ・・・。
何かを狙っている・・・。
町役場に避難勧告を早く!!
あれ・・・アタシの獲物だから♪
ユーフォは、にやりと笑みを浮かべた。
ユーフォの、「にやり」は良くない「にやり」。
太楽の天花火のユーフォは猫坊主を展開し、陣を形成し始めた。
♪ホ~~~ホッキョケ♪
今は晴暦3007年5月4日。
ある晴れた空のどこか。
♪ホ~~~ホッキョケ♪
・・・。
「風流だにゃ。」
「そうですにゃ。」
「でも、なんか変だにゃ。」
「♪ホ~~~ホッキョケ♪って鳴いてなかったかにゃ?」
「♪ホ~~~ホッケキョ♪じゃなかったかにゃ?」
「・・・」
「き、気のせいですにゃ・・・」
「「そうですにゃ・・・」」
・・・。
♪ホ~~~ホッキョケ♪